スキルについてのいろいろ


 この村の名前はルヤナ開拓村というらしい。この辺りの森がルヤナの森と呼ばれているからだそうだ。

 この村で畑を手伝い、村の囲いを修理し、森の木を切ったり家を建てるのを手伝い、いろいろな事をしているうちに3年の月日が流れた。


 もちろん、3年間ただぼんやり過ごしていたわけではない。

 努力の成果がこれだ。


「ステータスオープン」


名前 : アジフ

  種族 :ヒューマン

  年齢 : 44

Lv : 5


  HP  : 71/71(+35)

  MP : 15/15(+4)

  STR : 26(+8)

  VIT : 24(+7)

  INT : 10(+2)

  MND : 15(+4)

  AGI : 19(+5)

  DEX : 10(+3)

  LUK : 6(+2)


スキル

  エラルト語Lv2 リバースエイジLv2 農業Lv2 木工Lv1 解体Lv1 

 革細工Lv1 採取Lv1


称号

  異世界よりの来訪者 農民

 

 +された数字はLv1の時と比べたもので、実際にステータスに表示されてるわけじゃない。


 狩人のズーキの手伝いをお願いしてさせてもらっている時に、罠にかかったホーンラビットやフォレストウルフのとどめを刺させてもらっていたらLv4まで上がった。

 インチキくさいレベル上げだが、この辺りの子供はそうやって初期レベルを上げるらしい。ただ、そんなに毎回罠にかかってくれるわけではないので、このやり方ではLv4くらいが限度のようだ。


 なんとか解体のやり方を教わって、自分で狩りができるようになると、解体スキルLv1を覚え、自分自身もLv5まで上がった。ホーンラビットならなんとか倒せるようになったのだ。

 ヤツらは突撃を盾で受け止めると簡単に仕留められる。あの死闘はなんだったと思えるほどだ。


 しかし、Lv5になった頃から出会うと逃げるようになって、なかなか仕留められない。狩人は弓で簡単に仕留めるらしいが、弓は絶望的に当たらなかったのであきらめた。DEXが低いせいだ。そうに違いない。

 

 採取Lv1は村長の奥さんメフィカさんに食べられる山菜、キノコや薬草を教えてもらって、森で採取しているうちに手に入った。メフィカさんは調薬Lv6を持っていて、ポーション(!)を作成できるのはLv10なのだそうだ。しかし、ポーションは作れなくても薬草からは傷薬が、毒消し草からは解毒薬が作れるそうだ。


 採取スキルは無くてもちゃんとした知識があれば採取は可能だが、それができるようになった頃には採取Lv1を獲得していた。スキルがあると採取できる物の場所がなんとなくわかるようになって便利だ。


 革細工Lv1は村に革の加工場があって、男衆がよく集まって雑談している。教えてもらいながら革で色んな物を作っていたら手に入った。家に帰ったら革で色々作るのが楽しみで趣味と化している。


そして、今もっとも使用頻度の高いスキルの農業Lv2


 農業Lv2

農作業に補正がかかる。


 一見たいした事なさそうだが、あるとないとでは大違いだ。隣の畑の農民一筋のディックさん(農業Lv24)なんかは、畑を歩けば雑草が空を舞い、耕せば農機並み、水を撒けば害虫も寄り付かず、葉は青々と茎はがっしりと、収穫時期にはあまりの速さに分身が見える。おそらく現代農業も真っ青な作業効率だと思う。


 多大な手間と時間がかかりそうな現代知識による農業改革は即あきらめた。素人が口出しするべきではない領域だし、そもそも改革するほど詳しくない。


 料理はできないからやらない。当然スキルが得られるはずもない。


 そう、スキルが優秀なのは戦闘職だけではない。あの神(多分本物)は『スキルは職業・訓練・経験・素質・その他の要素により獲得することができます。』と言っていた。


 ただ、それが技術革新を遅らせているようにも思えた。スキルレベルが大きく反映されてしまうので、世代が変わると効率や成果が下がるのだ。それを取り戻そうとスキルレベルを上げる努力をする。そのせいで新しい技術や道具を生み出す工夫に重点が置かれていないようにも思えた。

 文明が中世レベルで停滞しているのはその辺りが原因なのではないだろうか?


 それにこの村に長居できない理由がある。こいつだ。


 リバースエイジLv1

スキルLv×使用するMP×0.1歳 使用者の年齢を逆行させる。

リキャストタイム:1年


 1年目にMPを増やそうと罠ホーンラビットでLv2にしたのだが、MPはLv1の11から増えなかった。仕方ないので実験してみたのだが、まず“MPを使用する”ってのがどうしたらいいのかわからなかった。


最大MP11×0.1で1.1歳が最大値になると思われたが、試しに“リバースエイジで2歳逆行”と意識してみると、こう、とてつもなく大きな岩を持ち上げようとするような“絶対無理感”があった後、気絶してしまった。気が付いた後にステータスを確認してみると、年齢表示はそのままでMPが1/11となっていた。


 MPは時間がたつとじわじわ回復していく。感覚的には1時間で2ずつくらいだろうか?


 MPが回復した後、今度は“リバースエイジで1.1歳逆行”で試してみると、無理な感じはなかったが、やはり気絶してしまった。起きてからステータスを確認してみると年齢欄が44歳になっていて思わずガッツポーズをしてしまった。さらにリバースエイジがLv2へレベルアップしていた。


 ひと月ちょっとすると45歳になっていたので小数点もちゃんと効果を発揮しているようだ。


 2年目にホーンラビットのおかげでLv3になった時に、MPが13へ増加していて喜びのあまり奇声を上げて聞きつけた隣のディックさんに心配された。


 リキャストタイムが明けて、2年目の挑戦をしたのだが、最大MPが13でスキルLv2なので最大2.6歳まで行けるところを2.4歳でとどめる事にした。それは「MPが0になると気絶する」って話を聞いたからだ。リバースエイジのスキル効果で気絶するのか、MP切れで気絶するのか確認しようとした訳だ。


 結果、スキル発動して身体が光った気がしたが気絶はしなかった。ステータスを確認すると、年齢欄が43歳になっていた。前回はMP枯渇で気絶していたようだ。


 そして今、3年目のリキャストタイムが明けたのだ!


 この村に来た時に年齢を42歳とサバを読んでおいたので村人からは今年で45歳と思われている。今回スキルを使えばLv2×MP15で41歳になるはずだが、40代の顔の変化なんて微々たるものなので今年いっぱいは大丈夫だとは思う。

 しかし来年はもうだめだ。46歳になるはずが最低でも39歳になるなんて、見た目で怪しすぎる。


 それともう一つ。木工スキルは村の囲いの修理と拡張のために半年ほど木材加工を続けたら手に入ったのだが、ふつうよりかなり遅い習得だったようなのだ。歳を取るとスキルの習得や成長が遅くなるらしい。


 来年のスキル使用を遅らせればいいので慌てる必要はないのだが、できるだけ早く動ける身体を手に入れたい。なんとか今年中に準備を整えて村を出なければ…



 覚悟をきめて3回目のリバースエイジを発動した。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る