第5話 ペットとご主人様

「やすひろさんは、どうなんですか…?!」


思わず話を逸らすような返しをしてしまった…。でも私だけが自分の性癖について聞かれるのもなんか…ね!いいよね!←


「俺は、わりと普通かな?今までペットプレイはあんまり居なかったけど…。経験はまあまああるかな…?」


「ペットプレイって興味ある人少ないんですかね…?」


「う〜ん…、確かに珍しいかもな。」


珍しい…。私…もしかしてサイト内でも色んな人からそんな風に思われてたのかな…


「で、でも結構首輪つけたりご主人様呼びでパートナー作ってる人とかSNSにもサイトの掲示板とかにも居ますよね?!」


「んー、それってどっちかって言うと性奴隷じゃない?」


「は…」


「性奴隷がいいの?」


「いや、たぶん違います!」


性奴隷…。そんな同人誌ではありがちだけどバッドエンド寄りな終わり方が多いハードなMには私なれないっ!だって…、性奴隷って…


*

*

*


「ご主人様ぁ…///もう無理です…//////」

『何言ってるんだよ、まだまだ満足できない癖に…』

パァンッ!

「あっ///ぅぅ…/////」

『ほら、もっと良い声で鳴けよ!』

パァンッ!

「ああっ///痛いのに気持ちいいですぅ…///」

『フンッ、この変態。」

「ぅぅぅ…っ!//////」

『何だ?変態って言われて喜んでんのか?じゃあもっと変態らしくご主人様って言いながら気持ち良くなれよ!』

「あっ!?///だめぇっ/////ご主人様ぁ///////そんなに奥っ…///あっ…ぅぅ〜//////いぐっいぐっ…ご主人様の赤ちゃんできちゃうぅ〜!!!///////」

『孕めよ』

「っあああぁ〜//////////」


*

*

*


って、赤ちゃんできちゃうよ!?赤ちゃんできちゃうなんて恥ずかしくて言えないよ!?もしかして私がやりたい事って中出し?!いやいやいや、違う、しっかりしろ私!!!中出しと性奴隷はそもそも絶対セットではないし、ペットとして扱ってもらうのがペットプレイなのでは…?!


「や、ペットとして扱われたいと言うか、犬とか猫みたいに可愛がられたりしたいなぁ〜っていうか?…そんな風に接してもらいながらSMプレイを楽しみたい願望って言うんですかね…?!///」


「なるほどね〜」


言い終わってやすひろさんの方を向くと少しだけやすひろさんがニヤニヤしてるように見えた…、何故か恥ずかしいより先に期待というかむずむずするような嬉しいに近いような気持ちが込み上げてくる。これって…、これって、やっぱり私がMだから?!


「あの…、私ってMっぽいですか?」


思わず聞いてしまった…。なんて言われるんだろう…、普通にそんな風には見えないとか?でも…それはそれでそんな風に見えないのにMで珍しいプレイしたがる変態なんだとか思われてるって言っても過言では無いし…、でもMっぽいって言われたらもう道ゆく人に私はMだと思われてるみたいだし…


「まあ、Mっぽいよね。でもSMとか知らなさそうだし処女っぽいよね。」


やすひろさんはそう言ってくすっと笑った。一方私はなんだか悶々とした気持ちになった…。そもそも私ちゃんと成人してるし、一応彼氏だってできた事あるし、処女ではないし!確かにSMについては全然素人かもしれないけど…


「むむむぅ…」


「何?拗ねてるの?」


「いや、拗ねては無いですけど…」


「ごめんごめん、だって、俺だって正直こんな可愛い子が会いに来ると思って無かったし、しかものねむちゃんすごく幼く見えるからさ」


やすひろさんが急に笑いを堪えられなくなったように笑ってちょっと緊張が解けた。けど…幼く見えるってどういう事!?私そんなに幼いって言われた事無いんですけど!?って言うかバカにされてる気がするんですが!!!それならこっちだって!


「やすひろさんって本当に38歳なんですか…?」


「え、そうだけど…、もっと老けて見える?」


「いや、そうじゃなくて逆にもっと若く見えるし、話しやすいし…一緒に居てもそんなにも歳上って感じしないというか…」


「嫌じゃないならいいけど…」


「うぇっ?!や、嫌とかそんなんじゃないですけど…!」


なんだこのやり取り…全然普通。ってか嫌じゃないってなんか私が別に好みですけど?って言ったみたいじゃない?!気のせい?そんな事無い?!そもそもやり返そうと思ったのに全然やすひろさんに響いて無いしむしろ何故か私が恥ずかしくなってるのはなぜーーー!?///そしてまだなんだか楽しそうに笑ってるやすひろさん…


「のねむちゃんさ、面白いね。」


なんだかその言葉が凄く嬉しくて、見えない尻尾がお尻でフリフリ動いてるような気分になった…。なんでだろう…、まだパートナーになったわけでもないのに自分のご主人様に喜んでもらえて嬉しくなってる犬になったような気分…。これって…、ペットにとってご主人様との運命の出会い的なタイミングなのかな…、今やすひろさんにパートナーになってもらわないとダメな気がして来た…。これは思い込みなのかな…?でも…


「まあ、正直SMって相性だからね!のねむちゃんも会ったりするのは良いけど気を付けた方がいいよ。俺はそんな気は無いけど、カラオケでもどこでも急にプレイしようとして来たりパートナーになった気で接してくる奴とかいっぱい居ると思うから。」


「ぁ…、はい。」


やすひろさんのこれは素なのか?!急に真面目になったんですけど!?本当にSなんですか!?超優しくないですか!?


「や、でもやすひろさんみたいな人に出会えて良かったです。やっぱりご主人様になってもらうとしたらやすひろさんみたいな人がいいなとか思います…」


あ…。

言い終わってやすひろさんと目が合う。

私は遠回しにやすひろさんにご主人様になってくださいと言った事実にじわじわと飲み込まれて恥ずかしさと緊張でからだの内側から破裂しそうになった。やすひろさんはチラっと私の全身を見て言った。


「じゃあなってみる?ペット。」

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