第4話 初めましてじゃないですが初めまして

いよいよやすひろさんと会う事になってしまった…!(というか会える!?というか喜んで良いのか、いけない事してるのか…これは法的に認められる行為なのか…私はよく分からなくてもう頭がパンクしそうだ…)

ずっとサイト開いたままスマホ握りしめて待ち合わせ場所で待っているのですが、ここ…


新宿なんですよねぇ!!!


しかも東口って、歌舞伎町方面って書いてあるじゃない?歌舞伎町って言ったらなんでかわかんないけど、キャッチとかキャバクラ、ホスト、風俗、ラブホテル…、なんでもあるじゃないの?!そういう街じゃないの!?

やっぱりカラオケだけじゃ済まないんじゃ…


待ち合わせわかりやすいようにドン○ホーテにしてもらったけど、思ってたより歌舞伎町だし…


「お姉さん可愛いね、ひとり?今暇だったりする?」


キャッ!キャッチだああああああ!!!


「あ、あ…今ちょっと人を待ってて…」


「そうなんだ、彼氏?」


「いや…」


「友達?じゃあ友達来るまで俺と話そうよ?」


ど…どうしよう…

私こういうのに全く耐性無いし回避の仕方わからないしここは相手の箱庭だし…


「ここに居たんだ、この人誰?友達?」


ひぃぃええええええ!!!この人誰ッ…って思って振り返るとアイコンの雰囲気とほぼ変わらない99%ぐらいやすひろさんな男の人が私の事を少し強引にキャッチから引き離してそのままドンキから離れた方向に歩いて行く…


「あ、あの…やすひろさんですよね…?」


違ったらどうしよう!マジで新宿わかんないよぉ!!!(泣)


「よかった、人違いじゃなくて。」


そう言って少し笑ったやすひろさん100%は私の理想と予想を軽く超えて登場したのであった…。


「のねむちゃん、イメージよりかなり童顔だし小さいね…、ちゃんと成人してる?」


「なっ……、成人してますよっ!!!やすひろさんこそイメージより大人っぽ過ぎるというか…、カッコいいと言うか…急に…急に…」


「急に…?」


急にキャッチから助けられるのが初めての出会いとかイケメン過ぎるし出来過ぎじゃ無いですか!?なんて本人に言えないよわあああああ/////なんだこれ、出会い系単語のサクラってこういうののこと言うのか!?///


「なんか顔赤くなってない?大丈夫?」


こ、この人…


「確信犯だっ…!!!///」


「え?」


私がパニックになってるの見てずっと笑ってる…やすひろさん100%(本物)はSだ!そしてこの状況のままだと私の身が持たない気がしてきたぁ!!!///////


「あの、とにかく、なんというか、もうカラオケ行きません?」


「…、そうだね。」


やすひろさんの表情は楽しそうに見えた。正直若葉マークだらけの私にとってはその表情がどういう意味なのか、本当に笑っているのか作り笑いなのか、いい意味なのか悪い意味なのか分からなくて、ただ…


それよりも緊張と期待とドキドキでムレて感じる自分が恥ずかしくてカラオケの椅子に跡残ったりしないかなとか、そういうの見られた時に初対面でやすひろさんが襲ってくるような人だったらどうしようとか…

とにかく私の脳内をやすひろさんに知られるのは恥ずかし過ぎるなぁとか…

少し身体が熱くなった気がした…


*

*

*


「いらっしゃいませー。

こちらの番号のお部屋のどうぞ〜。」


カラオケに着いて部屋に入ると初対面の緊張感が振り返してきて黙り込んでしまった…。


「のねむってさ…」


え!カラオケ着いた途端呼び捨て…!?

初めてネットで知り合った私の内緒の趣味を知っている男の人と2人きりの空間に居る状況を徐々に自覚し始めている私の警戒心はかなり敏感になっていた。


「どういう意味なの?」


「あ、名前の意味ですか…。あれは…なんというか…、こういう趣味を持ってる自分に名前付けるってなんだか不思議な感じで、全然名前とか思いつかなくって…、ノーネームからのねむで良いかなって…。」


緊張してうまく話せない…!

あと、カラオケルームのちょっと暗めの照明がなんだか…///


「ふーん、やっぱ本当にペットプレイとか興味あるの?」


な、なんでそんなにストレートに聞けるんですか!?///

っていうか、もしここで本気でやってみたいんですって言ったら、同人誌みたいな「じゃあ今日から俺のペットになれ」とかいうセリフがやすひろさんの口から出てきちゃったりするんですかね!?それでその後じゃあさっそくパンツ脱げとか言われたり耳元で囁かれたり、どこが好き?とかベターなセリフまで言われちゃったりするんですかね…?!///

私は数秒間にものすごく迷った末答えた…


「そう、ですね…、やっぱりSMで1番興味あるのはペットプレイかなって思います///」


「ふーん。」


わああああああ!言っちゃった!こんなのサイトでの私知ってる人しか知らない事だし、ましてや直接人に話した事なんてないのに言っちゃった///この後なんて言われるんだろう…


「…。」


「…。」


私の勝手な妄想とは裏腹にやすひろさんは特に変わらない表情で次の言葉もなく謎の沈黙を置いた後


「なんか歌う?」


とだけ言った…


ちーーーがーーーうーーー!!!


「そこはさっきの話題の続きをもっと話したりするんじゃないんですかぁ!?」


はっ…。思わず口に手を当てて俯いた。

頭の中で思ってた事をついうっかり口にしてしまった…!恥ずかしいし、なんだか図々しい気もするし、自分がこんな事言うなんて思ってもないし自分がものすごくSMに興味津々みたいで(事実興味津々ではあるが)動けなくなってしまった…///


「さっきの話の続き、したいの?」


やすひろさんの大人っぽくて優しい声と話し方が聞こえる…。まるでさっきまでの自分の妄想を覗き見られていたような気分になって一気に恥ずかしさで身体が熱くなる…。趣味についてもっと話すだけなのに、どうしてこんなにいけない事してるみたいな気分になるんだろう…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る