第3話 特殊クラス行き
3日後、入学式当日にて
部屋のベットの中、リリは頭を悩ませていた。
「結局あまり成果が無いまま、入学式当日になってしまいましたわ。」
見つけられたものといえば、今までよりも魔力効率を良くするものと、実質的に魔力を増やす方法だが……。
「うーん……術式が完成してないものしかありませんし……
時計を見ると……8:21、もう少しで入学式が始まる。
こうしちゃいられませんわ!
初日から遅刻しないためにも、リリは急いで身支度を整え、学園へと駆け出していった。
ーーー
「やっぱり、体育館も広いのですわね‥。」
流石魔王学園!……このセリフ、前も言ってましたわね。
受付の人から座席を教えてもらい、指定された席に座る。
周りは皆、楽しそうに会話に花を咲かせている。
そんな中、体育館の明かりが全て消え、壇上の明かりだけがついた。
「新入生の皆さん。ご入学おめでとうございます。」
ここでも、校長の話って長いのかしら?
女子高校生だった頃の記憶を思い出し、ちょっと苦い顔になる。
あの頃は始業式や終業式が嫌で嫌でしかたなかったわ。
「生徒会会長からの挨拶です。」
あら?生徒会長からの言葉?
ここでは生徒会長が挨拶するのね。…あまり長く無いといいのだけれど…。
「新入生の皆さん。より良い魔族になれるよう。各自頑張ってください。」
挨拶が雑すぎじゃありませんこと?!
思わず突っ込んでしまった。
そのまま、生徒会長は舞台袖まで戻っていった。
「えー、では、次はクラス分けの為の魔力検査を行います。皆さん、練習場Aまで来てください。」
クラス分け……一体どんな方が同じクラスになるのかしら?
前世のように、友達とくだらないことではしゃぎたいなと思いつつ、リリは練習場Aまで足を運んだ。
ーーー
「魔力検査は、こちらの測定水晶に触れる事だ。いいか?もしズルをしたら、その場で退学だからな?」
流石に入る前からズルをする人なんて、いないと思うのですけれど……。
リリの順番は66番、検査は水晶に触れるだけなので、割と早く、列は進んでいく。
ーーー
「132!」
ここまで100代が続きますわね……。やっぱり、一般的な魔族の魔力量は、100前後ですのね。
ここまで特に目立つものもいなく、リリは自分の番が来るのを楽しみにしていた。
物心ついた頃から魔法の練習をして来たんですもの!せめて200くらいはいってほしいわ!
「次!」
リリの前の人が測定する番になった。
多分、今回も100代なのでしょう。
さほど興味は無かったのだが……何やら周りがざわついている。
一体どうしたのかしら?
リリは測定推奨見る。……見た途端、リリの目が大きく見開かれた。
『10万3092』
水晶に描かれた数字は、それまでとは比べ物にならない数字で…。
「すげーなあいつ!」
「超級レベルの魔力量だぞ?」
「あいつが次期魔王になんのかね?」
周りは噂をし始める。
しかし、その噂の人物はと言うと……
「なんだ?これっぽっちの力で10万か。」
まるで、力の一部しか使っていないようなセリフに、周りはさらにざわつく。
「次!」
ついにリリの番がきた!
「誰だ?」
「今代魔王の娘らしいよ。」
「まじか!ならさっきよりもすごい数値が出んのかな?」
うぅ……プレッシャーのせいで、胃がきりきりしますわ!
水晶玉の前で、リリは大きく深呼吸をする。
震えそうになる手をなんとか伸ばし、水晶に触れる。
数値は………
『69』
あたりはどよめく。
「69?!」
「普通の魔族よりも下だぞ?!」
「え……本当に魔王の娘なの?」
この場に居るのが居た堪れなくなり、リリは急ぎ足でその場から去る。
ーーー
ざわざわざわ………。
あれから数時間後。
ついに、クラス分けが発表される。
どうか!どうか普通クラスでありますように!
この学園には、普通クラスと特殊クラスの二つがある。
普通クラスはその名の通り、一般的な、魔族が入る。
普通クラス内でも成績の高い順から、A、B、C、Dと、4つある。
対して特殊クラス。
特殊クラスは、なんらかの問題を抱えている生徒が集まるクラスだ。
例えば、危険な行動ばかり取る者、家系魔法が危なく、制御できない者。
…………魔力が以上に低い者。
貼り出された紙に群がる人数が減ったところで、リリはクラスを見る。
リリのクラスは………『特殊クラス』
なんと、リリは異常な魔力量の低さから、普通クラスではなく、特殊クラスに入ることとなってしまった!
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