指南3-② 彼を躾ける

 甘え上手は転がし上手であり、転がし構文も教えたところで、別に私の彼は良い人だしそんなことやらせたくない……なんて乙女心に浸る女性もいることだろう。断言しよう、いずれあなたは「便利なお母さん」となり、彼のわがままに辟易させられる。そこでようやく駄目だと気づき怒ってもヒステリック、メンヘラ等決めつけられ、あなたの涙に彼は心を動かされるどころか泣けばいいと思っているんだろなどと冷たい目で見てくる。そうなった時はもう遅い。捨てて別の彼に乗り換え、今度こそ、この中身を思い出し実践してほしい。

 さて、躾ける、という題名だが、男は苦労して手に入ったあなたという存在を少なくとも付き合った当初は手放したくないはずである。付き合った途端冷たくなる男もいるが、これはあなたが完全に手に入ったと思い込んでいるからで、あなたがいなくなると感じると慌てふためくはずだ。それも付き合ったばかりならこちらが別れようなどと言わなくても、多少彼も不安を抱きやすい状態になっている。つまり、付き合った当初ほど女は男を躾けやすくなっている。躾けることで「〜〜しなければ彼女がガッカリする」ということを学習し、嫌われないために気遣いのできる男となり、同時に彼は「〜〜しているし彼女は自分のものである」という安心感も得られる。

 今回は具体的に躾けるべきエスコートの内容を以下に並べたので参考にしてほしい


・多少重い荷物は彼に持たせる

 ……いざ同棲をしよう、となり、引っ越し段階で段ボールに詰めたあなたのお気に入り達。持ち上げようにも女の力には限界がある。きっと軽々と持ち上げるであろう彼は「中身減らせば?」とか頓珍漢なことを言っている。お気に入りだから詰めているのに。「持てないくらいなら2つに分ければ」とか助ける気の無い彼にあなたは苛立つ。

 女も筋肉つけろなどという男がいたとして、筋肉の無い彼女を選んだのはその男である。そんなに筋肉ありきの彼女と付き合いたいなら吉田沙保里様のような女性を口説いとけば良い。お前なんかが相手にされるとは思わないけどな。という乙女の怒りはさておき、そんな男に育たないよう日頃のデートから多少重い物は持たせるべきだ。「女は非力である」ということはわかっていても「だから自分が持ってあげればいい」という発想には繋がらない男がいる。彼に荷物を持たせる訓練をしよう。


・送り迎え

 ……女が帰るとき夜遅いと怖い目に会う可能性が高くなる。またあなたが実家暮らしなら彼に家まで送り迎えさせることであなたにも親がいて心配されているはずだと彼も認識し、大切に扱ってもらえやすくなる。毎回させると彼も疲弊してしまうので夜遅くなった時や疲れていて襲われても咄嗟に逃げられなさそうな時などに限定しよう。


・野菜の取り分けをさせる

 ……飲食店で席についたとき、ぞんざいにふんぞり返っている男のみっともないこと。まるでこういうことは女のやることだ、と言わんばかり。昭和時代からもう時代は平成、令和へ移り変わったことを知らないようだ。もっとも「男もきちんと野菜を取り分ける」という概念そのものが無い人もいる。そこで、飲食店についたら彼にも何かさせよう。箸を配ることや水をコップに入れることでも良い。高給な店ほど店員がやってくれている場合もあるが、その場合は飲食店じゃなくても家でやらせれば良い。ともかく彼にも何かさせることを日常とするのだ。ただし彼にだけさせるのではなく自分もやることを忘れずに。


 絶対にやらせるべき3つをあげたが、他にも、車道側を歩いてもらうようにする、などいくつも躾けるべきことはある。もっともこれはカレカノ関係によって変わってくるのでそこはよく考えて躾けてみてほしい。

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