第43話、第四世界…なんだかややこしいことになってきた…

さて、ジュールに作る食堂のメニューをどうするか。

ジュールは人が多いから、作り置きのできるものがいい。

牛丼は確定として、あとはどうしよう。


あれはどうだ、鳥そぼろ丼の温玉のせとカレーライス。

カレー粉は業務用のものを使えば手間はかからない。

ベジタブルミックスと、玉ねぎはスライサーでみじん切りにする。


まずは、みじん切りにした玉ねぎをじっくりと、あめ色になるまで炒める。

次に豚肉を入れて、最後にミックスベジタブルだ。

そしたら、水を入れて沸騰させ、最後にカレー粉を入れる。


「ぐっ、何だこれは」 「少し辛いが問題ない美味さだ」 「もう少し辛くても大丈夫です」


やっぱり、暑いところはカレーだ!


福神漬けも忘れてはいない。…が、どちらかというと甘辛ラッキョウの方が受けた。


ジュールの島には、売店を設けてカップ麺と菓子パンを用意する。

一番大きい島だけは麺専用の食堂をオープンさせた。

もちろん、冷やしである。

つけ麺、ざるそば、ざるうどん、そうめんのメニューだ。


それから、トウモロコシを大量に購入して、茹でて販売する。もちろん生も売るが、皮ごと茹でたものを販売する。

茹でたものは3本で銅貨1枚。

生は5本で銅貨1枚。


更に、トウモロコシを挽いて粉にしコンソメと混ぜてコーンスープを作る。

コーンスープ&トーストのモーニングメニュー誕生だ。

ユーフラシア連邦共和国はこうして大きく変貌を遂げていく。


この世界には存在しない不思議生物カイコを持ち込み、養蚕も手掛けていく。

ソーラーパネルも持ち込んで、ミシンを導入する。

紡織を定着させようかとも思ったが、布を買ってしまった方が安い。

欲しいものは、ケビンを通して発注するようにしたため、多分苦労しているだろう。


次は海産物だ。

養殖を拡大して、ジュールの島へも広げていく。

特に人気なのはエビなのだが、大型のエビは養殖に向かない。

成長するのにおそろしく時間がかかるのだ。

伊勢海老の場合、卵から考えると稚エビになるまで300日で、食べられる大きさになるまで更に3年。


ザリガニの仲間であるロブスター(オマールエビは欧州での呼び名、同じもの)も大きくなるまでに相当の時間がかかる。

ロブスターの寿命は100年以上らしい。

比較的簡単といわれるバイメイエビの導入も考えていく必要がありそうだ。


カニの仲間も手間がかかるらしい。

結局のところ、マーメイド達と検証が必要である。


結局のところ、養殖は魚と貝に限られてしまう。

しかも、アジの開きみたいなものは好まれなかった。

そうなると、冷凍して輸送するか、獲れた段階で煮てしまうか、生きたまま運ぶか…


漁業の拡大は難しそうである。


その分、海藻や貝類は好調である。

ホタテのような貝は冷凍で保存できる。

海藻も干して輸送できるのだ。


まあ、収納を使えば、新鮮な状態で輸送できるので、そこで細々と続けていこう。




魔道具師の育成は、学校の授業に取り入れることで、拡大可能であるが、スカイボード以上のものはなかなか生まれない。

それでも、来るべき魔族との決戦のためにも、継続せざるをえない。


そんな中で、とある少女が空間に穴をあける魔法を発見した。

本人は、瞬間移動を再現しようとしていたのだが、なぜか1mほどの黒い穴が開いて閉じなくなってしまった。


穴にカメラを入れて撮影したところ、そこには空中から生えた楔が写っていた。

俺は、この穴にも楔を打ち込んで塞いでおいた。



俺は、この魔法式を禁止して、その構文をチーターたちと解析した。

そして、ついにこの穴を塞ぐ魔法を発見した。


おれは、3か所に開いた穴をすべて塞いでから、次のステップへと進めた。

任意の場所に任意大きさの穴を開けてみたのだが、それは俺たちの世界ではなかった。

また、同じ場所に穴を開けても、まったく違う世界につながってしまう。

俺は瞬間移動で戻ってこられるが、これは困ったことになった。


おそらくは、地球で言う自転や公転のように、それぞれの世界が移動しているのだろうと仮説を立てた。

幸いなことに、いきなり宇宙空間に出ることはない。

そこから考えられることは、パラレルワールド。

進化の異なる進み方をしてしまった世界が存在するというものだ。


すべて、同じ太陽系の第四惑星なのだが、地球とユーフラシアは異なる進み方をした別世界。

それならば、魔界も同じことになる。

魔族も、とんでもなく想定外の存在ではなく、単に違う道を歩んだ種族ならば、そこまで恐れる必要もない。


これは、地球の科学者とも協力して進める必要がある。




「地球とユーフラシアですが、同じ24時間の周期で自転していると考えられます。

更に、約365日周期で季節が変わっていますし、こちらをご覧ください。

昨日のユーフラシアの夜空です」


「うーむ、ベガ、アルタイル・デネブか、夏の大三角だな。天の川も同じに見える」


「別の時間帯です」


「オリオンの三つ星だな」


「もし、そうだとして、行き来することができるなら、相互に交流することもできるし、すべて閉じておくこともできると」


「ええ。興味本位で手をつけてよいモノか悩んでいます」




短いのですが、第三部終了です。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る