第27話、アサミン…健康食品じゃねえよな

「吉田課長と同期には見えませんね。

いや、お世辞じゃないですよ」


「化粧で隠してるだけよ。

じゃあ、ミーティング室で話を聞こうかしら。

えっと、欲しいのは?」


「Tシャツ、短パン、パンティー、サンダルあたりです」


「カジュアル系ね、なら浅見一緒に来て」


「えーっ、忙しいんですけど…、あれ?末永君?」


「やあ、久しぶり」


「会社辞めたって聞いてたけど、どうしたの?」


「うん、自分で色んなことやってるんだ」


「仕方ないなぁ。このアサミンが力になってあげよう」



「それで、量はどれくらい?」


「えっと、あいつらが1000人くらいだから5000組欲しいですね。

できればSとMサイズで、不ぞろいのほうがいいです」


「Tシャツ、短パン、パンティー、サンダルね。ブラは要らないの?」


「必要になったら追加でお願いします。

サンダルは足首辺りで固定できる感じで。」


「予算は?」


「とりあえずなので、安くていいんですが、2500万くらいでどうでしょう」


「年齢は?」


「高校生から20歳ってところかな」


「ビーチ用なら、ビーサンの方がよくない?」


「そうか、じゃあ半分は変えてくれ」


「Tシャツも半分はタンクトップとかチューブトップにしたら」


「ああ、任せる」


「タンクトップだとかがんだ時に見えちゃうかもよ」


「基本、女の子だけの集落だから平気だ」


「なにそれ!1000人の若い女性だけの集落って…」


「ごめん、詳細は勘弁してくれ」


「うーん、500円くらいで買えるスポーツブラもあるけど、ほら、ジムとかで着てるやつ」


「ああ、予算内でアサミに任せるよ」


「支払いは?」


「現金で払う。口座で金を動かすと色々面倒になりかねないから」


「会社ではないんだ」


「ああ、個人でやってる。むしろボランティアみたいなもんだ」


「ねえ、色白で美形な子2・3人いない」


「全員、とんでもない美人だ」


「えっ、髪の色は!」


「金髪から赤毛、黒髪もいるぞ」


「染めてるんじゃなくて、地毛よ」


「ああ」


「目の色は?」


「青系が多いかな、金と緑と…」


「こっちは、私に任せて。その代わり、臨時のモデルお願い。

イメージはマーメイドよ!

変なコスプレはさせない、単純なサマーウェアの撮影だから」


「あ、ああ」


「撮影は明日、できれば今日中に会いたいんだけど…」


「明日なら大丈夫だ。だが半日程度しか空けられないぞ」


「今日は?」


「ああ、うちにいるから…」


「私からも頼む。結構大事なプロジェクトなんだが、用意したモデルが先方のイメージに合わなくてね。

君の注文はうちのスタッフに任せてもらっていい。

明日さえ乗り切れば…」


「衣装のサンプルがあれば、俺が写真撮ってきてやるけど。

それで、好きな子を選んだほうがいいだろ」


「末永君、写真なんて…」


「ニコン派だ、カメラはD200とD300sって一昔前の機種だが、自然な被写体を撮るんならレンズも揃ってる」


「浅見、それでいこう」


「サンプルだから10着しかないけど…」


「十分だよ」



吉田課長には、牛の件は後日お願いすると告げて、サンプルの衣装を持って瞬間移動する。


「えっ、モデルですか!」


「ああ、とりあえず俺が写真を撮る。

場所は…、そうだな、ケビンのところを借りよう」


「やった、デビューだ!」


「まだ気に入ってもらえるか分からないよ」


シマガメのところに行き、バーバラにも協力してもらう。

あとは適当に6人選んで連れていく。


「ついでにマーメイドの姿も撮っておこう」


パシャパシャパシャ


「じゃあ、全員そこにある服を着てくれるかな」


「「「はい」」」


パシャパシャパシャ

着替えのシーンは個人的趣味だ。


レンズは75-200mm f/2,8


ドランの領主館でパシャパシャパシャ


ケビンの私室でパシャパシャパシャ


「もっと悩むような表情で…、そう、いいねいいね」パシャパシャパシャ


「甘えるような感じで、指を唇に持っていって…、いいよ」パシャパシャパシャ


「二人でキスをする直前の感じ…、サイコー」パシャパシャパシャ


屋上へ出てパシャパシャパシャ


「調子に乗って、手ブラまで撮っちまったよ…

ボタンを順に外してたらいい感じだったからな…」




「浅見、撮ってきたぞ」


「ありがとう、助かる…。

えっと、会議室のモニターで確認しましょうか」


二人で会議室へ行き、PCにSDカードをセットしてスライドショーを始める…


「な、なにこれ!」


「あっ………

す、3Dのお絵かきソフトで補正した」


「俺も見てないんだって…、言ってたよね」


「あっ、………

浅見、お前の記憶を消すこともできるんだが、今のは忘れてくれ」


「ってことは、本物ってことかな」


「ああ、マーメイド達だ」


「どこなの?」


「シマガメという体長200mの亀の上だ」


「これは、末永君の趣味ね…」


「…、そう受け取ってもらって構わない」


「!、こ、このお城も、セットではなく実物…」


「ああ」


「全員の後ろ姿も自然な感じで撮れてる」


「ああ、腕がいいからな」


「!、金髪に金の瞳。透き通りような肌…」


「俺の嫁だ…」


「赤髪に緑の髪の毛。これも地毛なのね」


「ああ」


「!、なにこの子。姿勢がすごいピシッとしてる感じ。スレンダーだけどボディーラインも出てる」


「最初の嫁だ」


「えっ、だって…」


「嫁が3人いる」


「…、この知的な感じもいいわね」


「嫁だ…」


「…、ピュアな感じも、セクシーな感じも揃ってるわね。

ちょっと待ってて、メモリー持ってくるから、使えそうなのをコピーするから」


「ああ、人には絶対に黙っていてくれ」


「言えないわよ」


バタン




使えるものを50枚に絞り込んで浅見のメモリーにコピーした。


「このSDカードは預かっておくわ」


「必要ないだろう」


「記憶を消されても、これを見れば思い出せそうだから」


「消さないって言っただろ」


「さてと、課長とスタッフにチェックしてもらわないとね

課長ー!」




「すごいな、こんな人材がいたなんて…」


「もう、本物のマーメイドよね。この横座りしてるシーンなんて、尻尾にしか見えませんよ」


「すっごい美人ばかりなのに、普通に着こなしてくれてる。

こんな風に着てほしかったって思えますよね」


「これ、背景はセットなんですよね。質感が半端ないですよ」


「トリミングとかしないでこのレベルなら、このまま使えますよ」


「金色の瞳って、カラコンじゃないですよね。すっごく自然な感じ」


「これ、専属契約取れたら、社長賞間違いなしですよね」


「ああ、私もこれを本チャンとして使ってもいいんじゃないかと思ってる。

これにダメ出しするようなら、向こうのトップに直訴してやる。

この50枚を提案するってことでいいな」


「「「はい」」」


「末永君、本当に感謝する。

君の依頼には全力で応えようじゃないか。

彼女たちが着る服だ、浅見もイメージできただろう」


「はい」


「なあ、本当に今回限りなのか?

なんなら浅見を好きにしていいから、もう少しやらせてみないか?」


「か、課長!」


「この子たちを前にして、浅見じゃ無理っしょ」


「スタイルも顔も胸も…全敗ですね」


「ひ、酷いです…」


「まあ、浅見には浅見の良さがありますし、決して彼女たちに劣ってるとは思えませんよ」


ヒューヒュー


「まあ、二度目があるかどうかは本人の意向を確認してからで」


「タイプの違う女の子たちだから、これが公開されれば社内からも問い合わせが殺到するだろう。

当分、浅見は専属で対応させるから、他の仕事は回さないように。

以上だ」

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