第26話、人魚の隠し財宝
「うーん、さすがに資金が厳しくなってきたな…」
「あら、金で良ければ、シマガメ様のところにありますよ」
「えっ、まだ生きてるじゃないか」
「歴代のシマガメ様の残した金とミスリルです。
金が2000kgくらいで、ミスリルは3000kgくらいだと思います。
ご自由に使ってくださいな」
「1トンって、金相場が5000円/gとして…、500憶!
国家予算規模じゃねえか!
いや、日本の国家予算は300兆円規模か…
県の予算にも全然届かねえよ…」
だが、これでジュラルミンとアクリルの購入費用はできた。
「飛行は3地点の巡回、魔力波の発信機を設置すれば、そこに向かうだけですから問題ないですね。
安全性を考えるなら時速100km。最大でも200km以下で押さえたいところですね」
チーターとの技術会議である。
「町とエルフの里まで40km。エルフの里からドワーフの里まで20km。
ドワーフの里から町までが60kmか。
滞在時間を5分として時速200kmなら1時間で1周可能だな。
ゴルとドラン間は、300kmだから、片道1時間半。2台用意してやれば、2時間に1便運航できるな。
よし、それで行こう」
「搭乗口ですが、スライドタイプのほうが良いんじゃないかと思います。
センサー機能で確認してクローズするときに、ギアを回してやるだけだから簡単」
「フォルムを、もう少し抵抗の少ないものにしたほうがいいだろう」
「クッションを柔らかくしないとお尻が悲鳴をあげそうだぞ」
「全部任せる」
あっという間に飛行艇が完成した。
「すごいものだな。加速する感じが全くないぞ」
「空を飛べる日が来るなんて思いませんでしたわ」
「ドランへ行く便は、山越えですからもっと高い場所を飛びます。
人間なんて識別できないくらいですよ」
「本当に24時間運航するのか?」
「そのほうが手間がかからないんですよ」
「ドランの町中にもほしいな。
ただ、ドランの集落は規模の小さなものばかりだからな…」
「ケビン君、それならば町を起点にした三つくらいの周回コースを作ればよいのでは。
多少の不公平感はやむを得ないものと割り切るしかないよ」
「そうですね」
「そういえば、ドランには迷宮があったな」
「ええ、ただ往復の道中が危険なので、冒険者は少ないんですよね」
「なら、迷宮の直行便を作ってやろう。
面白そうだから俺も連れて行ってくれ」
「やめておけ。
嫁たちを泣かせたくはない」
「そんなに危険なのか」
「ああ、近くの森に夢魔や淫魔が出現する」
「俺に、そんな精力は残ってねえよ…」
「それでも、精神力の弱い奴は虜になるらしい」
「ゴルの浜まで、あと二日くらいですね」
「ああ、色々と準備は進めてある」
「そうしたら、俺も日常に帰るのか」
「それにあわせて、定期便の就航だな」
「ああ、同時に連邦制を長官やギルドの長たちに説明しないといけないな」
「抵抗はありそうなのか?」
「まあ、冒険者ギルドの長くらいだろうな」
「マックだったか?」
「あれの後任でモスバガという男だ。
温和な男なんだが、コンゴウ氏に何故かライバル心を抱いているようなんだ」
「オヤジさんにかよ。何かあったのかな」
「そこまでは知らん」
「お前の式には来るのかな」
「来るとは思うが、確認はしていないぞ」
「いたら教えてくれ。直接話してみる。
それからな、余計なことかもしれんが…」
「なんだ」
「少し栄養をつけたほうがいいぞ。
一週間やりまくってましたって、顔に現れてるからさ」
「だってよお、バーバラの親族が9人だぞ…」
「気持ちは分かる。俺も同じ…
瞬間移動をセットしておいてやるから、口実を作って逃げ出せ。
それから、日本のドリンク剤と生卵とハチミツで作ったスペシャルドリンクだ」
「効くのか…」
「ああ、俺も毎日飲んでる」
「ああ、お前も嫁4人に親族だもんな…」
「結婚が、これほどハードだとは思わなかったぞ…」
「じゃ、スキルセットしといたからな。
常時発動の各種障壁と反射。体力と魔力の自動回復も追加しといたからな」
「ああ、すまん」
「ボス、収納が完成しました!」
「おっ、凄いじゃないか」
「劣化版なので、入れた順番でしか出せませんし、容量も馬車2台程度ですが」
「十分だよ。よくやってくれた。
御馳走するって約束したよな。何が食べたい」
「この間食べさせてくれたプリンが…」
「そういえば、甘いものはあまり流通してないな…
牛とサトウキビも展開してみるか、いやサトウキビは沖縄とかの熱い地域だったよな。
そうするとテンサイか…
この町の砂糖は南にあるリンドから仕入れていて、高額だって言ってたよな。
ハチミツの方が安いって…」
「だ、ダメですか…」
「いや、簡単に甘いお菓子を作るにはどうしたらいいか考えてた。
よし、今日はスイーツ三昧だ!」
日本で有名店のスイーツをホールで買い漁ってきた。
プリンにババロア、ティラミスにゼリー、シュークリームとエクレアにショートケーキとメロンケーキ。
モンブランとショコラケーキとミルフィーユとパンナコッタとムース類。
チーターには食堂を提供し、好きなように食べてもらい、2階のホールにソフィアとバーバラの一族と嫁たちも呼んだ。
「「「ウメー!」」」 「「「おいしい♪」」」 「「「幸せ♪」」」 「「「別腹よ!」」」
うん、みんな幸せそうだ。
「なあ、ケビン」
「どうした」
「ドランの北側で、砂糖と牛を育てたいと思うんだが」
「牛ってのは、肉が柔らかくて乳をとれる家畜だと言ってたな。
佐藤というのは、お前の国で上位に入る名前だと聞いたが、牛に近いほどの乳を出す人種でもいるのか?」
「すまん、言い方が悪かった。
砂糖の元となる
テンサイの根を絞って煮詰めると砂糖が取れる。
その搾りかすは牛の飼料にもなる」
「いや、この光景を見てたから、乳にイメージが行ってしまったんだろう」
マーメイド達は裸である。
服や下着も用意してやらないと…
そういえば、元の職場でもレディース用品を扱ってたな。
久しぶりに顔を出してみるか。
「こんにちわ」
「おお、末永じゃないか。元気にしてたか」
「ええ、おかげさまで」
「どうした。会社に戻りたくなったのか?」
「いえ、今のところでも似たようなことをやっていますから。
今日は、牛と、女性用衣類の調達に来たんです」
「鉄鉱石やアルミの需要はないのか?」
「ジュラルミンなら…、アルミでもいいか、支払いは金になりますけど大丈夫ですか?」
「金かよ、無理だって。今は規制が厳しくてな一度に200万以下の取引は調書が必要とかな…」
「そうですか…まいったな。
お金を作って出直してきます…」
「そういえば、神さまがスキルでできるような事を言ってたな。
えっと、
換金:金を日本円に換金する
これでいいかな。
収納の金に対して『換金!』『出ろ!』」
ドサドサドサッ
「うおー、そうか500憶円くらいあったんだよな…『収納!』」
「出直してきました」
「おお、早いな」
「アルミ20トンくらい買いますよ。
今の相場だと、350万くらいですか」
「ああ、本当に買うのかよ。
運送はどうするんだ?」
「場所を指定してください。自分で取りに行きますから。
はい、現金です」
ドサッ
「お、おう。伝票作るから…」
「その前にレディースの担当と、農業の担当を教えてくださいよ」
「おう、誰かアルミの売却で伝票発行しといてくれ。それと現金を一緒にして経理へもっていくように」
「はい、自分がやっておきます」
「衣料品のレディースだったな、こっちだ」
「レディース部門の田中課長だ。
こいつは元俺の部下で末永。
買いたいものがあるそうなんで、話を聞いてやってくれるかな」
「末永です。よろしくお願いします」
「田中です。それで希望は?」
「俺は席に戻る。終わったら農業部門へ案内するから来てくれ」
「あっ、お願いします」
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