第13話
でも、美園先輩はレスポンスを貯めないタイプなのか、すぐに返信を返してくれた。
ヒカリちゃん
連絡ありがとう。先輩と呼ばれているので、とても頼ってくれてうれしいです。
性感帯は自分で開発するしかないと思うから、私は、ヒカリちゃんの相談にのることぐらいしかできないかな。
今日は、二十時ぐらいからシフトだから、もしいるなら待ってて
平岸
性感帯はそう簡単にいかないんですか……。相談ってもうないも同然……。でも対応してくれてありがたい………。藁にもすがりたい思いだったので助かった。
金髪ギャルなのに、会社の人だから、丁寧に送ってしまった。でも、めっちゃ普通の返信が返ってきた。もしかしたら、私より年上?
二十時。二階のパブリックスペースで本を読んでいたところ、美園先輩がやってきた。今日も、金髪の中にはリーフ型のピアス様が光っている。肩の出た服がよく似合っている。流石としか言いようがなかった。
「昨日も今日もありがとうございます……!」
「いいよいいよ、しょちょーから頼まれているから、うちがヒカリちゃんの教育係ってことで」
「そうなんですか、先ほど、ミクリ所長が、オナニーする上での注意点を教えてくれました」
「しょちょー、あいつ、根は真面目だからね。セックス発電の癖に。そういうところ、嫌いじゃない」
「私もです。あの人、いい人ですよね」
「いい意味でも悪い意味でも仕事熱心すぎてねぇ。バイトはしっかりしょちょーの事を尊敬してるからいいんだけど、ちょっと空回りなとこあって」
「そうなんですか」
「うん、セックスワークの価値を上げようと必死ーって感じ? 昔、好きだった女の子が、ここで働いていて、自殺しちゃったのがショックで。変えよう変えようってしてるんだって、酔ってるときによく言ってる」
「それはお辛いことに……」
汚らわしい仕事、嫌われる仕事だと思った自分が馬鹿だった。ミクリ所長は思っている百倍本気でこの仕事に、セックスワークに対して向き合っているのだ。私ももっと誠実に向き合わなきゃ。
「バイトはそこまでまだ意識高くない系って感じ。でも、ここにいるときはみんな幸せそうだよ。ヒカリちゃんにも、このバリ魔窟な流れを感じてほしい」
なんだかそこまで言われたら、ちゃんと受かりたいな。でも、自慰もセックスも嫌悪する自分に、この会社に居場所はあるのだろうか。発電しない奴に居場所はあるのだろうか。ちゃんと聞いてみる。
「オナニーできないんですよ、助けてください」
「ヒカリちゃん、行為単体で人はそこまで興奮しないよ。特に女なら」
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