5日後

「え?」


「え、いや、普通に言えるけど」


「...え?」


「あんた疲れてんだよ、病院行きな」


話が噛みあわない。だとしたら、もしそうだとしたら、俺は最低野郎だ。まさか、彼女の名前を忘れてしまっていたのは、もっと昔からなのか?性王の仕業ではない?


「我々は今だかつてない危機に直面している!我々は取り戻さなければならない!共に戦おう!奴を殺そう!」


拍手喝采。モニターに映る髭の男は激怒していた。民衆も激怒していた。やばい、ショックすぎて怒ることができない。そもそも彼女との出会いは何だっただろう?


どよどよどよ....


あたりが騒がしくなる。相変わらずモニターを見ているが、映っているのは若い男だった。


「今まで隠していたが、


僕は超能力者だ。世界には僕のような人間が実はたくさんいる。」


男は水を飲んだ。手を使わずに。ペットボトルが浮かんで、蓋がひとりでに回り、水がチューブみたいに口に吸い込まれていく。


「.....ゴク。女性達を連れ去った性王も超能力者だ。ただし別格に強い。だけど、人類が総力を上げれば必ず勝てる!!奴がいる場所へ僕が導く!!共に戦おう!!」




ん?頭が、頭がおかしくなりそうだ。彼女のことでいっぱいいっぱいなのに超能力者??


「いや、そうだ。俺が彼女を忘れているのは奴が俺だけに催眠術をかけたからに違いない!やつが死ねば記憶が戻る!」


そのはずだ。


「ええっと、その、先に言っとくべきだったんですけど、いく場所がですね。金星なんですよ。それで.......70%の人は死んでしまうので、あっ、でも是非参加してくださいね!」


んーどうしようか...

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性王!性王!性王! 只野差流 @tadanosaru

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