第2話 ゴールドバンク始まりの街 ルンちゃん登場

ここは始まりの街

勇者が初めて勇者になる場所であり旅立ちの場所でもある。

ギルドから装備品など身支度を整える為、ゴールドが支給されるが日に日に額が減っている。

理由は勇者が増えるばかりで魔物討伐が進んでないからだ。

需要と供給のバランスが崩れている。


そこで民間でゴールドを融資するゴールドバンクが登場した。

しかし、最近多発してる事件があった。

勇者に融資したものの全てニセゴールドで返済されることであった。

出所は不明。

そして。


ウィーンと自動ドアが開く。

ゴールドバンク店内。


店員「いらっしゃいませ。こんにちは」

店員「いらっしゃいませ。こんにちは」

店員「いらっしゃいませ。こんにちは」


「いや、古本屋か!」

ここにもまた一人ニセゴールドを持ってきた勇者があらわれた。

やがて…。



「全部ニセゴールドじゃゃゃゃぁない!」

机に置かれている大量のニセゴールドを腕で振り払うようにバサッと床に落とす。

ズザザザザァと滝のように滑り落ちわずかな数枚がチャリン、チャリンと音を奏でる。


彼女はゴールドバンク始まりの街支店担当

紺色のスーツを着こなす《ルン》である。


「ニセゴールドの訳あるかあ!」

と、机を拳で叩き立ち上がる。ニセゴールドを床にばらまかれたのが大男でスキンヘッドのマッチョな勇者である。いやごろつきか。


負けず劣らず両手を机に叩き立ち上がる。

「どっからどう見てもニセモノよ!あんた千里眼のスキルない訳!?」

ガガン、ガガン、と効果音と共にルンの目の前に空中に浮かぶスコープ型のレンズがあらわれる。

どうやらこのレンズを通してみると本物かニセモノか判断できるようだ。


「知らねえなあ!勇者になったばかりで千里眼なんてスキルあるわけねえだろ!」

両腕を組み椅子に座る。どうやら、しらをきるつもりだ。


「はぁーめんどくさ。これで46人目。千里眼なんて使わなくても目利きで判断できるようになったわ」


黙りを決め込む勇者。


「質問を変えるわ。あんたこのニセゴールドをどこで手に入れたの?」


勇者はフッ!と高らかに鼻で笑いこう答えた。

「知らねえなあ!知ってても教えるわけ…」


ルンは毎度お馴染みのやり取りに嫌気がさしそして


「このモブキャラガーああああ!」

と言いはなち大振りのビンタをした。店内にバチンっと大きな音が鳴り響く。


勇者「い、痛い…。」

勇者は赤くはれた左頬をおさえながら痛みと驚きと涙をこらえていた。

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