悪徳の勇者 ~ギルドに代わってお仕置きよ~

コードD

第1話 100年後の君え

バンッ!

家の扉が勝手に開いた。

そこには見知らぬ大男がいた。

勝手に上がってきた。

そして壺を割り、タンスを開け金目の物を物色している。


「おい!お前!何してんだ!」

住居人の主が叫ぶ。

母は小さい男の子を抱えるように身を潜める。


「何って俺は勇者だぞ。金がないんだ」

大男は勇者だった。


「金ならゴールドバンクに行け!お前もゴールドぐらい預けてるだろ」


「それがよお。最初に支給されたゴールドは全部使っちまってな。追加の融資も断られてな。

このままじゃ満足に装備も買えないし勇者を離脱しちまうことになる」

「それでーまあー金目の物あったらくれないか?」


床には割れた壺の欠片が広がっていた。それを見た家の主は。

「お前が本当に勇者なのか!お前はただのごろつきだ!」


「あーいいからよこせよ。じゃなきゃこの家壊すぞ」

大男は背中の剣に手をまわす。

すると小さい男の子が飛び出す。


「待ちなさい!」

母親が子どもを止めようとする。


「おじちゃん、金目の物はないけど毒けしそうならあるよ」

子供は手を伸ばして渡そうとする。


「毒けしそうだあ。今はゴールドが必要なんだよ

ボウズ引っ込んでろ」


「今必要になるよ」

プスッ!

子供は毒針をさした。


「ほらね」


「テメー。おもしれーなー。ありがたく毒けしそう使わせてもらうよ。そしてこの家もついでにぶっ壊してやる!」

大男は剣を振ろうとする


「そこまでだ!」

甲冑に身を包んだ王国騎士団が登場した。


「勇者マーシャル。それ以上行えば離脱になるぞ」


「チィ」

「ハイハイわかりましたよ。魔物討伐にいきますよ」


王国騎士団がマーシャルを引っ張る。

「さっさと行けほら、行けほら、いけって、行けよおらっ、早くしろ!歩け!歩けよ!走れ!走れ!GO!GO!歩けよ!」


「どっちだよ!うっせーな歩いてるだろ」

「…………。」

「……。ヤミヤミガラスカオスグラン…」


ドスッ!

マーシャルは闇魔法の詠唱の途中で王国騎士団にみぞおちにみねうちされた。


子供はマーシャルに毒針を投げつけ

「…やる」

「…てやる」

「…してやる」

「この悪徳勇者が!」

「俺がまとめて離脱させてやる!」


この街は始まりの街。

金のない勇者が悪事を働く街でもあった。

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