第7話 デート日の朝

さてさて。

彩さんから遊び?デート?に誘われて気がつけばもう当日になっていた。

時間は過ぎるのが早いらしい。


現在時刻は朝の7時。

集合場所、集合時間などはケータイで連絡を取り合っていた。

集合時間までは2時間ほどある。

でも、男はこういう時先に着いておく必要があるとも聞くので30分前に着くとしてあと1時間半。

移動時間を考えると残り約1時間ほどだ。

その間に着替えたり荷物の準備をする必要がある。

荷物と言ってもスマホと財布をバックに積めるぐらいしかないのだが。


ちなみに集合場所は駅だ。

そこから電車に乗って移動するという形だ。


俺は1階の方に降りて朝ごはんの用意をしている母さんに聞く。

父さんと母さんは土日は仕事が休みなので週末のご飯は母さんが作ってくれている。

とても感謝だ。


「あとどれくらいでできそう?」

「もうできるわよ」

「じゃあ座っとく」


そのまま流れるようにしてリビングの椅子に座りスマホを弄りながら待つ。


5分もしないうちに母さんがみそ汁と白ご飯、目玉焼きとウインナーを運んできてくれた。


「はい、召し上がれ」

「いただきます」


平日は自分で作った料理を自分で食べるという俺には需要がないことをしているので母さんの料理を食べるのはとても好きだ。


「あ、そういえば今日出かけるんでしょ?」

「うん。遊んでくる」

「それって女の子〜?」


ニヤニヤしながら聞いてくるため少し口ごもる。


「そこはノーコメントで」

「まぁ、楽しんできなさい。でもこれは朝から桜が不機嫌になりそうね〜」


「おはよぉ〜」


姉さんが髪の毛ボサボサのパジャマ姿でリビングへと入ってくる。


「おはよう。姉さん」

「おはよう。桜」

「2人とも早いね〜」


姉さんは眠たそうに目を擦りながら俺の隣に座る。


「桜、朝ごはん食べる?」

「んー。まだいい〜」


まだ少し眠たいのか机に突っ伏す。

なんか姉さんを見てるとホッコリするのはなぜだろう。

ホンワカしてるからかな。


「あ、まーくん!今日遊び行こう!」


唐突に遊びに誘われた。

でも、今日はこれから彩さんと出かけるんだ。

ほんとに申し訳ない....。


「ごめん。今日遊び行くんだ。だからまた今度ね?」

「むぅ。予約されてたならしょうがないかぁ〜」


ショボーン。

今姉さんに似合う擬音はこれだろう。

オノマトペが見えるぞ。


「ねぇねぇ。1人で遊びに行くの?」

「うーん。ちょっと違うかな」

「怪しい.....」


ジトーッ。

今度似合う擬音はこれだな。


「あ、政宗は女の子と遊びに行くんだって」

「!!!!!!」


何言ってくれてんの母さん!?


「まーくん。ほんとに?」

「・・・・・うん」

「むぅ!!ずるいよ!私も連れてって!」

「それはさすがに....」


女子との遊びに女子を連れて行ったらどうなるか。

そんなの考えなくても秒で分かる。


「でもずるいもん!」

「じゃ、じゃあ今度遊び行こう?ね?」

「明日行こう明日!」

「ごめん。明日もちょっと....」

「なんでよぉーー!」


明日は舞先輩と遊びに行くのだ。

週末はダブルで無理だ。

こればっかりはどうしようも出来ない。


「ら、来週行こう!来週!」

「むぅ。良いよ」

「ほんとごめんね。来週は絶対空けとくから」

「約束だよ?」

「うん。約束」


姉さんが小指をこっちに出してきたので指切りげんまんをする。


「ふふふ。これで桜も油断が出来なくなったわね」


母さん、ニヤニヤしてないでこの状況をどうにかしてくれても良かったのに...。


「しょーじきこのままついて行きたいけど我慢する。眠くなってきたから寝てくる」


そう言って少し怒ったような表情でまた2階へと引っ込んで行った姉さん。

まさかの二度寝。


「はぁ、母さんなんであんなこと言ったのさ」

「いいじゃない、いいじゃない。桜のサポートよサポート」

「?」


サポートという言葉の意味についてはよく分からなかったが姉さんの機嫌がある程度は戻ったから良しとする。


「あ、そろそろ準備しなきゃ」


「ごちそうさまでした」

「はい、お粗末さま」


きちんと食後のお約束を言い、歯磨きをする。

洗顔は朝起きてから既にやっている。


歯磨きをした後は着替えだ。

1番の問題はここだ。

俺はファッションに疎い。

どれも同じ服に見えてしまう病だ。

そのため姉さんに選んでもらった服をいつも着ている。


自室のクローゼットを空け、少し思考する。

まぁ、思考したところでなにも変わらんのだがな。


「今日はこれでいいか」


俺は黒のデニム、ワンポイントのデザインが入った白のロンティー、黒のジャケットを手に取る。

ちゃちゃっと着てからクローゼットに付属している鏡を見る。


「まぁ、こんなもんか」


あと、少しでも彩さんに見劣りしないように母さんが誕生日にプレゼントしてくれたシンプルなブレスレットでも付けていこう。

ネックレスもあるにはあるが今日はそんな気分じゃない。


大きすぎないウエストバックを持って再度1階へと降りる。

ふとここで少し好奇心のようなものに駆られ洗面所へと向かい、ワックスを手に取る。


そのままなんとなくのフィーリングで髪の毛を整えていく。


顔全体が完全に見える程度に整えられているのを確認して玄関へと向かう。


いつもは履かない白のスニーカーを履き、玄関の扉に手をかける。


「いってきまーす」

「いってらっしゃーい」


そのまま家を出る。


歩いているといつもより視線を感じたが無視を決め込む。

どーせ似合ってないとか陰キャが張り切ってるとかしか言われてないんだろうな。


徐々に人の話し声が増え、騒がしくなり始めた。

待ち合わせ時間の30分前に集合場所の時計が付いているモニュメントの下に到着する。

ここからあとは30分の耐久戦だ。

待ち時間はスマホでもいじろうかなーって思っていると


「ねぇねぇお兄さん1人?」

「私たちと遊ばない?」


これはいわゆる逆ナンだろうか?

今までも何回かお姉さんに話しかけられそうになったことはあるが警戒してそそくさ離れた。

今日は少し心が弾んでいるのか油断していた...。

一生の不覚!


「すいません。連れを待ってるんで」

「いいじゃん?少しだけだからさ」


ふむ。

この状況をどう打破してくれようか。

そう考えていると俺の斜め前の方から


「ねぇ、お姉さん1人?一緒にお茶しない?」

「ごめんなさい。待ち合わせしてるので...」


こんな声が近づいてくる。

この人も大変そうだな。

そう思って視線を向けたらそこには

金髪チャラ男にナンパされながら歩いてきている彩さんの姿が。

まぁ、モテるだろうからしょうがないのか?


「あっ、彩さん。すいません。俺の連れなんで」


俺は彩さんを守るようにして前に立つ。

さぁかかってこい。

ラノベとかマンガならこのまま因縁付けられて乱闘だろ?

覚悟はいいか?オレはできてる。

どこかのアリアリアリさんのようなことを考えていたら


「あ、ほんとにいたんだ!」

「ならしょうがねぇな!」

「楽しんでな!おふたりさん!」


そう言いながら去っていった。

去り際に俺の肩に手を置いて


「おい、お兄さん。大切にしてやんなよ?」


なんだこのナンパ野郎共。

外見チャラ男でも内心優男かよ。

惚れちまうだろうが。


周りを見れば逆ナン女子も微笑ましい表情でこっちを見ながら去っていった。


「大丈夫ですか?彩さん」

「う、うん。だい...じょぶ」


うん?彩さんの顔がなんか赤い。

どうした?俺の顔をジロジロ見て。

なんか変なところあったかな?


「どうしました?なんか顔に付いてます?」

「いや、ないないない!あっ!そんなことよりどうかな!?」


そう言うとくるっとその場で一回転。

今気づいたが彩さん純白のワンピースだ。

すごい似合ってる。

いつもと違うとこうも威力が高いのはなぜか。


「すごい似合ってます。可愛いです」

「ほんとっ!?よかったぁ」


ほっと胸を撫で下ろす彩さん。

・・・・・・沈黙が少し恥ずかしい...。


「そろそろ行こっか?」

「はい」


恥ずかしかったのはどうも俺だけでは無かったらしい。

2人並んで改札へと向かう。








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なんか彩さんのキャラが収集つかなくなってきたな...。

どうにかするんで許してください笑








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