第6話 またまたお誘い
スタッフルームから出てきた彩さんと一緒に帰ることになった。
今日は一段と女子と話した気がするな・・・。
「これぞ女難の相ってか・・・」
「ん?何か言った?」
「あ、言え。なんにも」
心の声が漏れていたらしい。
そんなに漏れてたらあんなことやこんなことも漏れてしまう。
きちんとロックかけとかないとな。
「ふぅ〜。今日は疲れたぁ。大学の講義、けっこうガッツリだったからさぁー」
「へぇー。って少し話し方変わるんですね」
「あー、仕事とかだと妙に気を張っちゃうからさ、私」
どうも彩さんはプライベートだと口調が少し違うらしい。
なんとも言えぬギャップがすごいな。
ギャップ萌えとはまさにこのことか。
「そいや今日も政宗、女の人にモテてたよね?鼻の下伸ばしちゃってさぁ〜。はぁ、やらしやらし」
「モテてた?モテてないですよ。あと鼻の下伸ばしてません」
「こぉーれだから無自覚はダメだよねー。下手したら鈍感よりもめんどくさいぞ」
俺がモテてるなんて彩さんの目は節穴なのだろうか。
ただ変な宗教に突っ込まれそうになったり
変な口座に金をぶち込みそうになっただけだ。
あと、鼻の下は伸ばしてないはず。
これ以上からかわれるのはなんか癪だ。
さっさと本題とやらに入ろうと思う。
「そういえばなんで急に一緒に帰ろうなんて言ったんですか?」
「あぁー。そのこと?んー。なんて言えば言っかなぁ」
彩さんが少し顔を赤くして考える。
待つこと約2分。
やっと彩さんが口を開く。
「遠回しに言ったりすのもあれだからさ」
「はい」
「今度の日曜日遊び行かない?」
おっとそれはダメだ。
すでに先客が入っている。
先に入った予定を断るなんてことはしない。
さすがにそこまで鬼畜ではない。
さすがに2人同時に周るなんて不誠実なことも出来ない。
仕方の無いことだ。
「すいません。日曜日は予定が入ってまして」
「あちゃ〜。そっかー。じゃあしょうがないかぁ」
「すいません」
「あ、じゃあさ!土曜日はどよう?あ、どうよ?」
土曜日は予定は入ってない。
俺は部活になんてものには入ってない。
そもそも根っからのインドア派に灼熱の下でのサッカー、蒸れた中でのバスケなんて拷問に近い。
殺す気かと。
ということで予定はない。
ないならば行くしかない。
女性からの誘いを断るほど鬼畜ではない。
「いいですよ。ちょうど暇ですし」
「ほんとっ?やったー。約束だぞ?」
「はい。わかってますって」
それから彩さんは終始ニコニコしていた。
「政宗ー。うりうり〜」
ほっぺをツンツンしてきたり
「政宗ー。政宗ー」
意味もなく俺の名前を呼んだり。
そんな中1つの質問が俺に下された。
「そういえばさ。日曜の予定って女?」
「・・・・・・・違います」
「今の間はなにかなぁー?」
「・・・・・・・違います」
「会話が成立してないからそれ」
なぜここにきて核心に迫るのか。
勘が鋭いのかと。
女の人に鼻の下を伸ばしていないと言った矢先に予定が女とショッピングなんてバレた日には・・・。
焦りに焦って口からへんな回答ばっかりが出てくる。
「いや、別に責めてないよ?」
「じゃあその笑ってない目は一体・・・」
「ん〜?めちゃくちゃスマイルだよ?ほら」
すっごい満面の笑みをこちらに向けてくる。
でも、おかしいかな。
口角が上がっている口とは違って目が笑ってない。
これぞ獲物を狙う鷹の目か。
いや、栗色の髪色だからクマの目?
「彩さんの裏表はダメだと思います」
俺は何を言っているんだ。
緊張のあまり脳が固まったのか?
さっきからとんちんかんなこと言いすぎだろ!
日本語おかしいだろ!
動けよ!俺の頭!!
「え・・・。そう・・・・」
え、なんかめちゃくちゃしょぼんってなったんだけど。
さっきのうりうりテンションはいずこへ?
「えっと彩さん?大丈夫ですか?」
「あ、うん。大丈夫・・・」
え、なになになに。
気が触ること言った?俺。
やばい。全然わからない。
「そういえば彩さんって一人暮らしなんですか?」
「うん。マンションに一人暮らしだよ」
この空気に耐えられなくなり露骨だが話題を変える。
この空気は俺の防御力でも貫通してしまった。
ガードブレイク攻撃恐るべし。
「今度さ、うちでもくる?」
「え?」
「くる?」
衝撃のお誘いが来てしまった。
なんといきなりうちくる発言。
この状況下で断るとどうなるか。
それぐらい俺でも分かる。
「はい。また今度になりますけど」
「そっか。ムフフ。そっかぁ〜」
彩さんの機嫌が一気に良くなった。
またまた終始ニコニコ状態だ。
見てるこっちまでうれしくなってくる。
「あ、私こっちだから。ありがとう。土曜日楽しみにしてる」
「はい。俺も楽しみです」
気がつけば分かれ道に差し掛かっていた。
彩さんは少し悲しそうな、でもそれよりもうれしそうな顔をして手を振りながら反対方向へと歩いて行った。
送ってやるべきだったんだが、家には姉さんが待ってる。
姉さんたちのためにも夜ご飯を作らないといけない。
ごめんなさい。彩さん。
「ふぅ〜。てか、最近俺テンション高いか?・・・・・気のせいか」
女子やクラスのみんなと話すことが増えたからだろうか。
最近自分でも分かるほど機嫌がいい。
いいことなのかもしれない。
みんないい人ばっかりだ。
俺なんかにはもったいないくらいに。
みんなに恩返しができるように俺も頑張らないと。
そしてまず俺は姉さんに恩を返すためスーパーへと寄ってから家へと帰宅するのであった。
翌日から政宗のアルバイト先のカフェ店で1人の女性がいつもとは別人のようになったのはまた別の話。
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読んでいただきたい感謝っす。
少し文字数少なくなったかな?
ごめんなさい。
他にも連載してるんでよければ是非
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