推理タイム

「後半戦が終わりました。これから推理タイムに入ります。犯人の断定はみなさんの投票によって決まります。事件の犯人に最多票が集まれば、犯人以外のミッションが達成されます。逆に犯人以外の人間に票が集まった場合、犯人の一人勝ちです。みんなの票が犯人とおぼしき人物に集まるよう話を進めましょう。無論犯人の人は、自分に票が集まらないよう善処してください。では始めてください」

「じゃあ一人ずつ、現時点で誰が犯人と思っているか、教えてもらえる?」エリコが話し始めた。「もちろん理由もね。それを照らし合わせて、矛盾点などから一番怪しい人物をあぶり出しましょう」

「俺はやっぱマサキ先生が怪しいと思うな」ユウトが発言した。先ほどのことがあって、私はなんとなくユウトと目が合わせられない。「ミチルと関係があったみたいだし」

「それはおかしくないか?」マサキ先生が発言する。「もし仮に僕とミチルが教師と生徒という関係以上だったとしても、それならなおさら僕がミチルを殺害することはあり得ない。僕が犯人を憎むことはあってもね」

「痴話喧嘩になったんじゃない? どっちかが不倫したとか」

「マサキ先生は誰が犯人だと思ってるの?」エリコが口を挿む。

「証拠があるわけじゃないけどね。エリコじゃないかな」

「えっ、なんで?」エリコの顔色が変わる。驚いたというより、怒った顔に。

「僕とエリコが一緒に写っている写真があっただろう? エリコは僕とミチルがただならぬ関係であることに気づいて嫉妬したんじゃないかな」

「違う、私はそんな……」エリコは口ごもる。言い返すための具体的な論拠がなかったのかもしれない。

「じゃあさー、チナツはどー思ってんの? あんたの意見を言ってみ」

 サナエが期待のこもった目で私を見てきた。期待か、それとも脅しか。

 私はまだ迷っていた。自分がどうするべきか。

 みんなの視線が集まるのを感じる。

 こんな時、チナツだったらどうするだろう? 私が演じているキャラクター。私みたいに、地味で目立たない女の子。ちょっとの間だったけど、少しあなたのことがわかった気がする。

 私は心を決めた。

「私は、犯人はサナエだと思います」

 私の隣に座っているサナエが目を見開いて驚いた。

 私は体ごとサナエに向いて、彼女を見つめた。

「私、あなたのことが好き」

「えっ?」

「サナエのことが、好き」

 周りがざわざわした。私は顔を真っ赤にしながらも言葉を紡ぐ。

「だからこそ、犯した罪は償ってほしい。ちゃんと罪を認めて、償ってほしいの」

 私は非公開だった情報カードをテーブルの上に置いた。サナエがミチルとマサキ先生に嫉妬している写真。

「犯人はサナエ、あなたよ」

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