草凪澄の目的④~青き草原へ~

澄人が青き草原へ突入するお話です。

お楽しみいただければ幸いです。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「高難易度で途中離脱不可……今まで避けてきたけど……」


 鍵の説明画面に書かれている文字を確認した俺は、思わずつぶやいた。


 俺は草原のど真ん中で立ち尽くし、持っている鍵を見つめる。


【青き草原】


 チュートリアル境界にあるフィールド。


 あの幻想的な青い芝生が生い茂る場所はあそこ以外に一度も見たことがなかった。


 今考えれば、青き草原が普通ではない特別な場所だということがわかる。


(どんな試練が待ち構えているんだ……あの時の比じゃないはずだ)


 初めてチュートリアル境界へ突入したときに、俺は草薙の剣を手に入れることができた。


 今回はわざわざ忠告として【高難易度】という単語が使われているあたり、あの時以上の試練だと予想できる。


 それでも俺は神器を作るために青き草原の鍵を使用しなければならない。


「よし! 行こう!」


 気合いを入れてチュートリアル境界を購入し、即時実行した。


 青い境界線を眺めながら、うちの観測センターへ電話を行い、真さんが口にする難易度を聞いてほくそ笑む。


「では、この【H級境界】へ清澄ギルド所属の草凪澄人が突入申請をします」


 この境界はどのように観測をしてもH級境界で間違いないそうだ。


 真さんが相手でもきちんと申請をすると断言し、処理されるのを待つ。


「申請受付しました……気をつけてね、澄人くん」


「ありがとう」


 真さんの応援を聞いてから電話を切り、青い境界線に向かって足を進める。


 すると、警告するように赤い画面が現れた。


【確認画面】

 チュートリアルは既に終了しております

 あなたがこの境界に突入しても何も起こりません


「わかってる。この中に用があるんだ」


 俺の言葉に反応したのか、赤い画面はそのまま消えていった。


 そのまま青い境界線に一歩踏み出すと、視界が真っ白になり浮遊感に包まれる。


(なんだ? まだ視界が変わらないのか?)


 いつもならすでに切り替わっているはずの風景が変わらず、白いままだ。


 不思議に思っていると手元から突如眩い金色の光が放たれる。


【青き草原の鍵を使用します】


「いきなり!?」


 俺が意識を向けることなく、鍵が反応して試練の扉が開かれようとしていた。


 自動的に鍵が実行されることは今まで経験したことがない。


「突入することなく扉が……足が付く?」


 だが、目の前には青く光り輝く大きな門が現れていた。


 なぜか足が付いた俺は、ゆっくりとその扉の前へ歩み寄る。


 その門の表面には複雑な模様が描かれている。


 扉の鍵穴が金色に輝いており、光が漏れ出していた。


 俺はその光に誘われるように手を伸ばして触れると、突然声が聞こえてくる。


『よくぞここまで来た。さぁ、鍵を使って中へ入るが良い』


 男性の声だったと思うが、姿が見えないのではっきりとしない。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


ご覧いただきありがとうございました。

長らく続けていた【無限ミッション】の物語ですが、

次回からの更新は不定期とさせていただきます。

更新を見逃さないためにも、この物語に興味のある読者さまはフォローをよろしくお願いいたします

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