臨時会議②~ハンター協会で調べもの~

澄人が調べものを行なうために、ハンター協会の資料室へ入ります。

お楽しみいただければ幸いです。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 自由に出入りできる資料室へ向かう俺は、はやる気持ちを抑えられず、自然と小走りになっていた。


 行方不明者の中にも俺の両親はいなかった……それだけじゃない……。


 俺の両親に関してならまだしも、考えている中で最悪のことが起きているのなら、本当に世界へ危機が迫っている。


 資料室に着いた俺は、扉を殴り開けるようにして中へ入る。


「あった……やっぱり、そうなのか……クソッ!!」


 棚からハンターのファイルを取り出し、行方不明になっている人の名前が記載されているページを開く。


 その中から、俺の両親が消えたとされている日に発生したレッドゲートへ突入した人たちの一覧を発見した。


 その情報を見た瞬間、心臓が激しく鼓動を始める。


「何もない……俺の両親は”いないこと”になっている」


 何度も同じ文章を読み返すが、書かれている内容が変わらない。


「まさか……そんな……嘘だろう……」


 考えてはいたが、実際に書かれていない用紙を見ると、自分がこれから戦う相手が未知数すぎて冷や汗が噴き出る。


 膝から崩れ落ちてしまい、手に持っていたハンターたちの情報が記載されたファイルを落としてしまった。


 床に散らばった紙を拾い集めようとするが、手が震えてしまってうまくいかない。


 いつの間にか荒くなった呼吸を整えるため、深呼吸を数回繰り返す。


「……ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……ハア……ハアッ……ハアァ……」


 息が整っても、頭が混乱していて思考がまとまらない。


 師匠の前では考えないようにしていたが、流れ出した思考回路が次々と情報を吐き出す。


「一緒に突入した人たちは覚えていない……じいちゃんさえも忘れている。こういうことをしてくるのが……俺の……倒すべき……敵?」


 祖先の言う脅威がただのモンスターだったら、草薙の剣でどうにかなると思っていた。


 しかし、俺の考えは甘かったらしい。


「俺も記憶を消される可能性があるのか……もし、そうだとしたら……」


 自分で考えた可能性に体が硬直し、足元が崩れていく感覚に陥る。


「違う……まだ決まったわけじゃない……」


 まだ確定ではないと言い聞かせ、別のことを考えようとしたが、見えない敵に対する恐怖が体の自由を奪う。


 このままではいけないと思い立って、気合を入れるために両頬を思いっきり叩いた。


「痛っつぅ……よしっ!」


 ジンジンする痛みを感じながら立ち上がると、窓の外に見えていた太陽は既に沈んでいる。


 今日は帰るのが遅くなるとお姉ちゃんへ連絡を入れ、落としてしまったファイルを拾った。


 冷静になりつつある頭の中で、今後のことについて考える。


 情報収集はもう必要ない……調べたいと思っていたことは終わった……。


 ファイルを元の位置に戻し、薄暗くなった廊下へ出る。


「でも、この世界のどこにいるかもわからない敵にどう対処すればいいんだ?」


 廊下に俺の声が反響する。


 誰からも答えがないことを理解していても呟かずにはいられなかった。


 未知の敵だが、一つだけわかっていることがあるとすれば、「俺の両親が消されてしまった」ということぐらいだ。


 他にも消された人がいるのかもしれないけれど、俺が認知することができない人なので確認のしようがない。


「今のままじゃ勝てる気がしないどころか……戦い方がわからない……」


 敵の正体や目的を知る必要があると思うのだが、その方法が思い浮かばなかった。


 誰かに相談しようにも、どんな顔をして話せばいいかわからないし、相談された側の反応が怖い。


 それに、俺自身が整理できていない状態で話すことなどできなかった。


「せめて何か手がかりがあればなぁ……あっー……同じようなモンスターがいないか、念のため資料を漁ってみようかな……」


 俺は資料室へ戻り、モンスターの詳細が記載してある資料を読み漁った。


 深夜まで資料へ目を通したが、何も得られないまま帰宅した。


「ただいまー」


 家に着いたのが深夜12時を回っていたため、部屋へ直接ワープをする。


 そのまま布団に倒れ込みたかったが、一日中動き回っていたため、お風呂に入ってから寝ようと体を無理やり動かした。


 服を脱ぎ捨て浴室に入ると、冷え切った体に熱いシャワーを当てる。


「あ~気持ち良い……ん?何だろうこれ?」


 温かい湯を浴びると体の芯から温まるような感じがしたが、それと同時に違和感を覚えた。


 それは、右腕から肩にかけて広がる謎の模様のようなものだ。


 よく見ないとわからないほど薄く、自分の手を当てても特に変化はない。


「いつできたんだろう?」


 薄い傷跡のような見た目をしているが、全く身に覚えがなく不思議でならない。


 鏡を見て確かめようとしたとき、急に右腕に激痛が走る。


「グッ!?」


 まるで火傷をしたかのような熱さと痛みに襲われ、思わず顔をしかめる。


 しかし、その痛みはすぐに治まり、今度は腕の模様が光り輝く。


 同時にシークレットミッションの達成を知らせる金色の画面が俺の前へ表示された。



【シークレットミッション達成】

 複数の神器を有し、親和性を高めました

 ステータスEXを一ヶ所解放します(幸運以外)

 

 俺は画面の内容に目を通してから、自分のステータスを表示させる。



【名 前】 草凪 澄人

【年 齢】 15

【神 格】 5/5

      《+1:1,000,000P》

【体 力】 33,000/35,000

      《+100:5,000P》↑

【魔 力】 52,000/52,000

      《+100:10,000P》↑

【攻撃力】 SSS《1UP:10,000,000P》

【耐久力】 SS《1UP:1,000,000P》↑

【素早さ】 SS《1UP:1,000,000P》↑

【知 力】 SS《1UP:1,000,000P》↑

【幸 運】 S

【スキル】 フィノ召喚・メーヌ召喚

      鑑定・思考分析V・剣術V

      治癒V・親和性:雷S・剣C・神器E

      天翔V・天翼V・捕食

      ワープ・永遠の闇

      グラウンド・ゼロ

      神の祝福・翻訳 □


【従 者】 白間輝正・楠瑛(2/2)

【貢献P】 2,670,000


 SSSが上限だと思っていたステータスにさらに上があったようだ。


 まだ能力が1つしかSSSになっていない状態で、さらにその上が解放されてしまった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


ご覧いただきありがとうございました。

もしよければ、感想、フォロー、評価、待ってますので、よろしくお願いいたします。

大変励みになります。


次の投稿は12月6日に行います。

次回も引き続き読んでいただけたら嬉しいです。

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