buddy contract (相棒契約)

 

 あの事件の後、なんだかんだでフレッドの誕生日の9/9を迎えた。


「「おめでとうフレッド!」」


 パーン!とクラッカーが鳴る。


「ありがとうございま~す」


「んもう、なんか緩いよー」


「ふふ、いっぱい作ったからたくさん食べてねー」


「「わーい」」


 エリーゼは二人のお姉ちゃん的な役が多い。本人が5人兄妹の長女であるのも大きい。


「とはいっても多分7割はアルが食べるんだよなー…」


「そんな食べない!」


「なんでそんなに細いのよ…」

「胃下垂なんじゃないか」


「二人とも!!」


「「ははは!」」

 にぎやかな食卓。

家族というものをアルは知らなかった。

しかし、きっとこういうものなのだと想像した。


「あ、そういえば、アル?」


「?……あ……」


「??」

アルはフレッドに誕生日プレゼントを渡した。


「え……いいのか?ありがとう。」


「これは……首輪?そういうの好きなの?」


「チョーカーだね……アル?なんでチョーカーなのかしら?」


「なんか……可愛かったから……。うう……」

 

泣き出しそうになるアルバート。

最近になって末っ子感が増した気がする。


「ああ!すごくかわいいなぁ!ちょっとフレッドつけてみてよ!」


「あとでな。っていうかチョーカーって男つける?」



「はやくしろ」


「ア、ハイ」



ドスの利いた声でフレッドを脅すエリー。小さく答えたフレッドはチョーカーをつける。

 

 黒の髪、褐色の肌、茶色の瞳、黒い服、黒黒黒…

 赤いチョーカーはさし色として悪くなかった。

「あ、結構似合うじゃん!」


「うん似合ってるよ!」


「そうかなあー。まあアルがいいならいいけどさ」


「アルもつけてみてよ!」


「うん。よいしょっと…」

 色白の細い首に赤いチョーカーが映える。


「「おお…」」


「どうかな…」


「あ、ちょっと待ってて!」

 そういってエリーは自分の鞄を探って化粧ポーチから口紅を取り出し、アルの唇に薄く塗った。


「「おおおおおお!!!」」

「「(あらためて、この娘美人だ。)」」


「ふふふ」「ぬふふふ」


 奇妙な、というか気持ちの悪い笑みを浮かべる二人。


「なに~?なんなの~?ねえ~?」


「エリーゼさん。今度彼女にお化粧教えてあげてくれ給えよ。」


「フレッドさん。これ以上してしまってええんですかい?」


「フォフォフォ、どんどんおやりなさい。」


「「フォッフォッフォ」」


「なにーこのやり取りーもーう」


  ・・・・


 少し経って食事の片付けも終わり、エリーゼは自宅に帰った。


 コーヒーを飲みながらぼーっとしかけたころ、アルバートはもう一つの目的を思い出した。

 

相棒の話だ。

クイクイッとフレッドの袖を引っ張るアルバート 。

「ねえフレッド。この前の話の事、覚えてる?」


「???なんだっけ?」


「相棒(バディ)の事」


「ああー……忘れてた!」


「だろうね。で、答えなんだけど-…」


「うん」


「私はこんな感じだけど、それでもいいなら、よろしくお願いします。」


「…………まじで?いいの?」


「むしろ迷惑になっちゃうけど…」


「やったー!」


「ねえ、聞いてる?」


「ヒャッホオオウ!」


 告・白・成・功!


の四文字が頭にでかでかと浮かんだ。


「もう……まあ言えてよかったかな。」


「ああ。改めてよろしくアルバート。」


「うん。よろしくね、アルフレッド。」


 固い握手をする二人。

 アルはほっとした顔でほほ笑んだ。


 次の日、役場にいき契約書にサインした。

【相棒契約書:

アルバート-アルフレッド・クレイン】


【創作名義:アルバート(原作)】

「??ここは私の名前でいいの?」

「原作はアルだからな。いいの。」

「ふーん。」


 こうして、ここに正反対の凸凹コンビ作家が誕生した。



 ここから4年、アルバート作の物語は大ヒットしサイン会を開くまでに有名になった。



 続く。

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