第13話 その後
「へへ、やられちまったな。」
オペラグラスを覗き込みながら鎌を背負った男はいう。
そこは切り立った崖の上ちょうどドンキホーテ達の戦っている場所を一望できるところだった。
「リーダーやっぱり俺たちも行くべきだったんじゃねぇのか、へへッ、今なら殺せるかもしれないぜ。」
リーダーと呼ばれたのはエイダと同じくらいの年齢の少女だ。髪は黒く真っ直ぐ伸びているその少女はため息をつきながら
「無理、わたしの最高傑作の一つが完全にやられた。魔力不足だよ。今のままじゃ戦えない。」
と言った。すると隣から赤い目の男が鎌の背負った男に向かって言う。
「そうよ、リーダーだって万能じゃない相手は今完全に回復してるわ。リーダーがこんな疲れてる時に戦って怪我でもしたらどうするのよ!」
「へへッ、それもそうか。焦る必要もねぇな。屍の大海なら殺せると思ったんだがね。リーダー次は遠慮なく使えよ。もったいぶってる場合じゃねぇぜ。」
「それは同意よ、リーダー、私達ならあいつらでもうまく立ち回って見せる安心して次は使いなさい。」
「うん、頼りにしてる。」
それじゃあ行こう、そうリーダーと呼ばれた少女言うと3人は闇に溶けていった。
圧倒的だった。それは瞬く間に現れたと思えば一瞬であの骸骨の兵士を倒してしまった、あれはいったい誰だ本当に、エイダなのか?ドンキホーテはエイダを見つめる。
エイダの様子はどこかおかしかった表情は虚で目に光はなく、右目に魔法陣のような複雑な模様が現れていた。そして特筆すべきは背中の片方だけ生えた翼である。翼は背中の右の肩甲骨のあたりから生えているように見える。翼は生物が持つような肉体のあるものには見えずどちらかというと。まるで光の束が集まってできたようなそんな印象を受ける翼であった。
(まるで天使…)
そうドンキホーテが思った瞬間エイダは地上に降りそのまま意識を失う。
「どう言うことだこりゃあ…」
とにかくドンキホーテはアレン先生とエイダを介抱し安全なところに避難せねばならない、ここは危険な森の中、いつ魔物が出てきてもおかしくはないのだ。急いでエイダとアレン先生を担いだドンキホーテは口笛を吹いた。
するとどこからともともなくドンキホーテのよく知るラバの走る音が聞こえた、ロシナンテだ。
「ロシナンテやっぱり生きていたか!」
ロシナンテはこう見えて賢いラバなのだ。おそらく屍の大海が襲いに来るのを察知し一人で安全な場所に逃げたのだろう。 加えてロシナンテにはある魔法がドンキホーテとの間に施されてある。それは一連托生の魔法といい、効果はドンキホーテが受ける魔法の加護を同時にロシナンテにも付与できる他、お互い場所を知覚できるようになると言うものだ。それによりロシナンテはドンキホーテをすぐに見つけることができたのである。
ロシナンテは走り出した。アレン先生とエイダそしてドンキホーテを乗せて。
エイダは再び目を覚ます。また知らないところだ。どうやらまたどこかの家の一室のようだ。ベッドがあるところを見ると宿屋なのだろうか。最近こんなことが多い、いつのまにか気を失い知らないところで目が覚める。そうだアレン先生はどうしたのだろうか。エイダは飛び起きた。思い切りドアを開け外に出ようとしたところ誰かがドアに直撃した。ドンキホーテだ。
「よ、よう、おはよう」
「あ!ご、ごめんなさい」
「大丈夫だぜっていうか!そっちこそ大丈夫か!?」
エイダはサッパリ状況が飲み込めなかった。
なぜ自分が心配されているのだろうか。心配されるべきは……
「それだけ元気ならば大丈夫そうじゃな。エイダ」
「アレン先生!」
心配するべき相手はアレン先生の方だろうしかしこの様子を見るとどうやらその必要はなかったようである。
「お前さんが助けてくれたのじゃよエイダ。」
「私が?」
「ああ、恐らく高位の回復魔法でだ。そこで一つ質問だエイダお前さんはいったい昨日のこといったいどこまで覚えてる?」
エイダは何を言っているのかさっぱり理解できなかった。覚えてるも何も昨日は怪物に襲われて、アレン先生が刺されそして…
「僕のこと今度は覚えててくれたんだね嬉しいよ。」
背後にはいつのまにか、あの少年がいた。
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