第2部【伊達ワル無双】
魔王を懲らしめるべく、そして真の伊達ワルを知らしめるべく旅立った一人の伊達ワル、獅子原は魑魅魍魎、もしくはイモとシャバゾーひしめくロードサイド、またの名をメキシコの荒野を駆け抜けていた。
道中すれ違う一般村人は獅子原の伊達ワルぶりにおののくばかりであった。
「これが巷で話題の伊達ワル戦士様だべか……凄い神々しいべ」
「ものすごい伊達ワルオーラだべ……本能的に畏怖してしまうカリスマがあるだよ……」
そんな伊達ワル進軍を続ける獅子原の前に傷ついた村人が現れたのであった!
「伊達ワル戦士様、助けてくだせえ! ステッカー購入を拒否したら村を焼くというのです!その上『今ならまだ間に合う』と通常の三倍の価格でステッカーを購入しろと強請するのです! 嗚呼恐ろしや! 恐ろしや!」
「ずいぶんとシャバい悪行じゃねぇか……待ってろ! 今直行する」
村人の悲観に暮れた直訴に獅子原の義侠心が炸裂しASAPで魔王軍に襲われた村に直行した!
「グフフフフ…‥俺様は気が短いんだ。その上で三倍価格という慈悲をくれてやってるんだ……早く決断しろ! さもなければ村を焼き路頭に迷わせるぞ! 三倍価格で買うか焼くか単純な二択だ!頭のいいお前らならわかるだろ!」
村長の悲鳴をBGMに魔王軍の尖兵たるオークは恐ろしい二択を突き付ける! 周囲の村人は震えるばかりであり村の広場は実に恐ろしい修羅場であった。このままでは魔王軍ステッカーを通常の三倍の価格で買わされることになる! この世に血も涙も存在しないのか! 嗚呼!
……次の瞬間! 警備ゴブリンが村の広場まで吹き飛び倒れた! 突然の出来事によりざわつく村人たち!
「伊達ワルが出たゴブ……」
ものすごいダメージを叩きだされて倒れる警備ゴブリン!
「警備ゴブリンを村の広場まで吹き飛ばすとは只者じゃねぇな! 出てこい!」
「言われなくても現れるさ……この伊達ワルがな!」
バァン!
圧倒的な伊達ワルオーラを漂わせながら獅子原が村の広場にエントリーした!
「貴様か…最近魔王軍の邪魔をしている伊達ワルは……」
「シャバい悪行をする魔王軍を懲らしめに来た! 覚悟しろ!」
「覚悟するのはお前だ! ひっとらえて魔王城に突き出してやる!」
わらわらと湧いて出るゴブリン兵! 一触即発だ!
「ゴブリン兵どもやっちまいな!」
オークの合図で一斉に獅子原に襲い掛かるゴブリン兵! しかし見事な拳闘技術でゴブリン兵の猛攻をいなしていきカウンターで一発、また一発とゴブリン兵を倒していく! あっという間にゴブリン兵は撃滅されていった!
「最後に頼れるのは俺様というわけか……オーク神拳の秘技を見せてやろう!」
「御託はもういい……かかってこい!」
オークと獅子原の激突が始まった!
獅子原はオークのどてっぱらに一撃をくらわせようとする!だがしかし!
「かかったな……オーク神拳奥義!火炎放射!」
オークの口から火を吹いた! 思わず獅子原は飛びのいた!
「流石の伊達ワル戦士もこのオーク神拳にはかなうまい! オーク神拳奥義! フライングボディプレス!」
オークの卑劣奥義!フライングボディプレスが炸裂!獅子原はもろに食らってしまい苦悶する!
「ぐぬぬ……」
「これで伊達ワル伝説も終わりだ!」
オークは勝利宣言をした!
「それはどうかな?」
どこからともなく声がした! 声の主を探しキョロキョロするオーク! そこにカードが投げつけられた! オークは反射的に回避! カードには『伊達ワル忍者参上』と書かれていた!
「伊達ワル忍者!? 何者だ?」
思わぬ事態に生じた隙を見逃さない獅子原は渾身のパンチを炸裂! オークは一撃で昏倒した! 伊達ワルの勝利だ!
獅子原はオークから零れ落ちた伊達ワル忍者のカードを素早く拾い上げた!
「伊達ワル忍者……一体何者なんだ……」
かくして村を開放した獅子原は一抹の謎を残して村を去っていくのであった……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます