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 「ちょっと待て。親同士のいざこざを子供が引き継いでいるってことなのか? くっだらねぇ!」

 「ほんと、下らないよね。お父さんはそのことを何とも思ってはないんだけど、佳澄は中学の頃から、何かと私にちょっかい出してくるようになったんだ。てか、何とも思われてないことが腹立たしいのかもね。断るにしても、もうちょっと言い方が有ったと思うんだけど・・・」

 「バカバカしいっ!」

 「ねっ、そんなことよりさ・・・」

 琴美が話を変えた。おそらく、これ以上この話題を続けたくはないのだろう。確かに、下らない連中の下らない生態に関する話題など、生産的な話にはならなそうだ。

 「講習受けるの、こっちのほうが良くない? エントリーCカードで総費用6万5千円! プール講習2回と海洋実習2回が込みだよ! 安くない!?」

 琴美が差し出す雑誌を覗き込んだ祐介が、気乗りしなさそうに言った。気の重い話が続いたので、わざと彼女を煽ったのだ。また少し、ワイワイガヤガヤとした会話を琴美と楽しみたいと思って。

 「大洗? 茨城かよぉ・・・」

 祐介の思惑通り、琴美が食って掛かってきた。またいつもの調子に戻ってきた。

 「何よ。大洗の何が悪いのよ。ココ、お店の人が親切に色々教えてくれるんだよぉ! 魚だって美味しいし!」

 「だって、この前言ってた茅ケ崎の方がオシャレじゃね?」

 「オシャレは関係ないでしょ! バカ!」

 「バカとはなんだ、バカとはっ!? このぺちゃパイ!」

 「あーーっ! 人間、言っていいことと悪いことが有るんだぞーーっ!」

 琴美は祐介に飛びかかると、その首を絞めながら前後に揺すった。祐介はガクガクと揺すられるがまま、白目をむいた。

 「て・・・ 撤回します・・・」

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