4
そのまま暫く日が進み、冬休みに入ったのを機に二人は例の書店で再びアルバイトを始めた。長期休暇中なので、学校に届け出さえすれば基本的に大手を振ってバイトをすることが可能だ。前回のバイトの際、店長のせいで学校側にバレて面倒なことになった経緯もあり、若干色を付けたバイト料で雇ってくれた。「二人には迷惑かけちゃったからね」とは、店長の言い草だ。仕事の内容を既に習得済みなのも二人にとっては有難かった。
例によって休憩室でくつろいでいる時であった。この部屋に来ると祐介は、綾子の事を思い出すのか、若干不機嫌になる。
「なぁ、もし言いたくなかった言わなくてもいいけど・・・」
「何よ、改まって? 私の初恋の人のこと? やっぱり気になるんだぁ?」
琴美はニヤニヤしながら言った。
「ばぁーか、んなこたぁどうでもいいんだよ!」
祐介がそう答えると、琴美が食って掛かった。
「どおでもいいとは何よ、どおでもいいとは! 私の元カレがどんな奴だったか、気にならないわけ?」
「いや、それは気になるけどさ。今聞きたいのはそんなんじゃねぇんだよ」
あんまり茶化すのも可哀想だと思った琴美が言った。
「じゃぁ、何が聞きたいのよ?」
祐介は躊躇いを振り払うかのように、意を決して聞いた。
「どうして篠崎は琴美のことを目の敵にするんだ? 以前に喧嘩でもしたのか?」
ほんの少し琴美の動きが止まった。そして声のトーンを落として言った。
「うぅ~ん・・・ 話が長くなるけど、いい?」
祐介は黙って頷いた。ちょっと考えてから琴美が喋りだした。
「佳澄の家って、運送屋やってるの知ってる?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます