いつも一緒。

阿佐ヶ谷ピエロ

いつも一緒

私たちはいつも一緒。いつからかしら、そうあれは、私が10才の誕生日に家族でお出掛けした時、ばったり出会ってからだから、もう45年?びっくりよね、わたしも、おばあちゃんになっちゃった。まだかわいいって? ふふふ、あなたぐらいよ、そんな事言ってくれるの。

あなた覚えてる? わたしが、中学二年生の夏の補修授業が終わって、帰宅中に、同級生達に、いじめられた時だって、わたしはただただあなたの胸で泣いてたっけ。あなたはいつも優しいでしょ? だから、つい甘えちゃって、ごめんなさいね。

でも、今日でそんなつらい事も終了。

わたし…疲れたわ。一生懸命生きてきたけど、やっぱり無理みたい。結局あなたはだけだったわ、わたしを愛してくれたひとは。

いままで本当にありがとう。そして愛してる。ああ、眠くなってきたわ。…

「警部、こちらです。」

「たぶん、薬による自殺と思われます。こちらに遺書がありますし。」

「佐藤、この女性には、家族はいるのか。」

「確認中ですが、たぶん独身者だと、なにせこのゴミ屋敷ですから。」

「遺体が抱きしめている、このクマらしきぬいぐるみは、よっぽど大事にしていたものなのでしょうねぇ。」

        終わり



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いつも一緒。 阿佐ヶ谷ピエロ @20060204

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