第4話 新たな仲間は、元気な子
「うわぁ〜!すごい!すごい!飛んでる、お空を飛んでるよぉ!」
(うん!カラスだからな!そりゃあ飛ぶよな!)
試馬のバカなコメントに、心の中で突っ込む俺。楽しい気持ちもあるが、試馬のことを嫌っていたからか、悔しい自分もいる。
「ともかく、おまえは誰なんだ?会話もできるし、ただのカラスじゃないだろ」
「それを言ったら君らだっておかしいと思いますがね!」
不思議なカラスは口をとがらせて言う。
「まあまあ、二人とも落ち着いて?」
険悪な雰囲気の俺ら二人を宥めるかのように、試馬が間に入る。
「自己紹介しよう?まずは僕から。僕は、犬河 試馬。よろしくね」
「俺は、猫蔵 都良。よろしく」
「私は、鴉河 七花!もしかして、二人とも私と同じクラス?」
「うん!名前を聞いたとき、もしかしたらって思ってたけど、七花ちゃんかぁ!」
試馬と七花は、仲が良さそうに飛び回る。
(こいつらって、友達だったのか?そういや、試馬は七花のことだけは知ってたな)
「私、ここに来る途中で私たちの行ってる学校を見かけたんだ。三人で行ってみない?」
「いいねぇ、行こ行こ!都良くんも!」
(考えてみれば、あとの怪しい二人もいるかもだしな)
「分かった。俺も行く」
「よ〜しっ!そうと決まれば、出発進行!二人とも、着いてきて」
そう言って七花は、容赦ないスピードで大空を駆け抜けて行く。
(あいつ、俺らが飛べないこと知ってるんだよな?)
俺らはただただカラスの姿の七花の影を追って行った。途中、絶対に普通の人間が通ることのない獣道を通らされたが、流石は猫。難なく通り抜けることが出来た。まあ、試馬は結構苦戦してたみたいだけど。
「いやー。結構早く着いたねー!」
(俺らは何度も三途の川を見た気がするんだが?)
「都良くん。僕、ちゃんと生きてる?」
「俺も試馬も大丈夫だ。死んではいない」
(あそこに連れて
七花は、俺らの苦労も知らずにじいっと校舎の方を見つめている。
(マイペース……だよな、完全に)
「ねぇ。あれ、リスじゃない?」
「えっ!リス?どこに?」
試馬はさっきまでの疲れを忘れ、完全にワクワクしている。ああ、バカだ。二人とも。
「都良くん、リス……だよね?」
俺は試馬が指を指したほうを見る。校舎の窓を覗く、怪しい小さな影。茶色っぽくて、黒と白のしま模様があるリス……。
「あれは、シマリスだ」
俺が言うと、例のシマリスはバッとこちらを向いてきた。
(人じゃ……ない、のか?)
「柴犬にトラ猫。カラスもいるって、どんな状況?これ」
(改めて声に出されると、何気にカオスな状況だなこれ。しかもあのリス喋ってるし。絶対人間だったろ)
「僕らと同じ……?」
「喋ってる……。ってことは……?」
(コイツら、頭悪いのか?)
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