第2話 猫になっての生活

猫になって初めて気づいたのだが、猫の体は結構歩きやすかった。高いところも、遠く離れた道にだってジャンプ一つで着いてしまう。

(俺も結構、運動神経あると思ったんだが。猫のほうが上か)

猫に負けてしまい、悲しいような、けれども、そんな猫になれて嬉しいような。複雑な気分だった。

「な、なんだコレ〜!」

(んっ?遠くの方から声がするな。なんだ?)

俺は声のする方に走っていった。

(結構、遠くね?)

数メートル走り、ようやく声の主が見えた。

それは、猫でも人間でもない。完全に、犬だった。

「な、なぁ。おまえ」

「ふぇ?誰?」

「俺は、猫蔵。猫蔵 都良」

「僕はねぇ、試馬!犬河 試馬!」

(そうか、犬河……んっ?)

「おまえ、俺の隣の席の犬河試馬か?」

「えぇ?!もしかして、都良くんなの?」

(あっ……、これはやらかしたな)

試馬に目をやると、尻尾をぶんぶん振って喜んでいる。

(言わなきゃ、良かった……)

「都良くん!これからよろしくね!」

「お、おう。よろしく……な」

(俺はよろしくするつもり無いからな?試馬)

そう、俺は心の中でこたえたのだった。

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