第6話 カーテンコール
藤川のいる客席はなにが起こったのかわからない感じだった。突然の太陽の光で目潰しをくらい。瞑ったまま終わってしまった。
水を打った静けさにつつまれる。
暫くするとパラパラと拍手が始まり、幕が開いていくと歓声に沸く。
今の自分の状況に戸惑いながらリベランスをする白の出演者たち。もちろん白のクラシックチュチュではなく。髪をおろしてのドレス姿だ。ロマンティックチュチュとは違い本当にドレスだ。
オデットとジークフリードが現れる。大歓声。どういうわけか、ジークフリードだけがびしょ濡れだ。少し笑いがおきる。ロットバルトが2人より後なのと思っていると、
湖の中から怪人姿に戻った彼が這い上がってくる。当然、びしょ濡れだ。犬が水を払うように身震いするように彼が身体をブルブルすると水しぶきがとび、しぶきが客席まで届く。迷惑がる人は誰もいない。笑いと大歓声だ。
明子は王子とロットバルトとリベランスをする。
突然もの凄い疲れと全身の痛みに襲われる。折角、自分も心地よい達成感をあじわい、感動していたのにだいなしだ。
「明子さん、大丈夫だよ。」
と道が手を差し出し助ける。
明子はやはり今日で終わりなんだなと最後のリベランスを楽しもうと切り替える。
「明子さん」
また、道が話しかける。
「僕の次の役はドロッセルマイヤーだよ。明子さんが踊っている限り僕は魔法をかけ続ける」
明子の意識があやしくなる。
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