お盆と悩み。

第152話 お盆前に悩んでますが、なにか?

 関東から帰ってきて、しばらくした後。

 お盆前だということで、バタバタとしているしどー君、勉強を頑張る燦ちゃんを尻目に私は行き詰っていた。

 勉強はしている。

 順調なので、今度は上位二十パーを狙うつもりでおり――それでもしどー君や双子委員長付近と比べるとまだまだなので、頑張りがいがある。

 目標としては暴力女――もとい小牧さんあたりだ。

 エッチの方も勉強は順調だ。

 しどー君を喜ばす努力は欠かさないのがイイ女だ。

 何に悩んでいるかと言うと、私と言う個性だ。

 燦ちゃんは関東でそれを得た。


「らしくないよね」


 そんな事実もあり、珍しく私は妹に嫉妬しているのだ。

 胸の大きさでは抜かれたし、何というか色香という面でもママに近くなり始めている燦ちゃんを観ていると――焦りを覚えているのだ。

 女として抜かれたら、しどー君にふさわしくないんじゃないかと、自滅しそうな感じがあり、全くメンドクサイ私である。

 イイ女であろうとしすぎている感があるのは知っている。

 そんな時は貰った指輪が私の気を紛らわしてくれるが、それはそれだ。

 私のプライドが許さない。

 ビッチだった時はもっと気楽だった気が……そうでもないか。

 そんな悶々とした日々でらしく無い自分を勉強に熱中することで忘れようとしていたある日のことだ。


「墓参りについてきて欲しい」


 しどー君の言葉からイベントが始まった。

 お盆といえば私、初音はつね三駆みつかには馴染みが無い行事である。

 今まで幸運なことに葬式すら経験が無い。

 そんな私にお盆という文字が認識できたのは、しどー君からのこの言葉が事の始まりだった。


「お墓参り……?」


 聞きなれない単語だと聞き返す。

 なんせ初音家は、身内が居ないのだ。

 ママ側で絶縁しているという事もあるし、パパ側も何故か良く判らないが付き合いが無い。

 とはいえ最近、金髪な従姉妹いとこは出来た訳だが。

 それに士道家面々……というより、マツリも将来、家族になるのである。

 人生どう転ぶか良く判らないモノである。


「なるほど」


 しどー君に怪訝そうな顔をされるので、初音家の事情を説明すると納得してくれる。

 既にお互いの親とも挨拶した仲なので、隠すことでも無い。

 そもそも、私は素性を隠すようなことは援助交際以外ではしたことが無い。

 私が知らない素性がたくさんあるのが何ともだが。


「ちなみにどちらさま?」

「母親のだ」


 聞くと、どこか寂しそうな表情を浮かべて答えるしどー君。


「メイドが原因だったり?」


 士道家の問題は大抵これが原因なので聞くと、困ったような表情を浮かべながらも顔は横に振られて、


「いや、病気だ。

 その人はその後だ」

「なるほど」


 納得できることでもある。

 しどー君が母親を失ったからこそ、懐いたのかもしれない。

 そこを上手く使われてトラウマになった訳だが。

 だから意地悪い笑顔を浮かべて言ってやる。


「初音ママと呼んでもいいのよ?」

「何を言ってるんだお前は……」


 私の胸を押し付けながら、ズズイとソファーのしどー君を押し倒すと、呆れられてしまう。

 性に貪欲な私であるからにして、新しいプレイはどんとこいである。


「うーん、メイドに母性を求めてたんじゃないかと。

 だから、それを消してやろうかとしたんだけどー?」


 そして言ってやった。


「ありがとう。

 でもな、初音に母性以上を求めてるから、気遣いはいらないんだがな……」

「ん♡

 いきなりぃ♡」


 と、Tシャツの上から胸をムンズと揉まれる。

 不意だったのでちょっと驚いてしまうが、嬉しくなってしまう私はどうあってもしどー君のモノなのだ。


「この前まで童貞だったのに、大胆♡」

「いやか?」

「ううん、もっとして?」


 そして私の喜ばし方をよく心得ている、ふふふ。

 もっともっとと、身体を震わせながら押し付けてしまう。


「姉ぇ?」


 行為に移ろうとした瞬間、ムンズと頭を後ろからほんのり濡れた手で掴まれた。

 振り向けばお風呂掃除を終えた燦ちゃんだ。

 鬼のような形相をしており、それもそのはず、


「今日は私の番」

「むー、いいじゃないー。

 ケチー!」


 とはいえ、正論だ。

 どうしたものか、どう意地悪してやろうかと考えていると、


「ほら、燦」


 しどー君がムンズと燦ちゃんのを優しいタッチで、下からずっしりとした重みを支える。

 何というか、大胆になったモノだと感心してしまう。

 私とお揃いの白シャツに食い込む大きなお餅がボリュームを主張してきて、眼の毒だ。


「ん……ぁ♡」


 体とリボンを震わせながら歓喜のエロい声をあげる燦ちゃん。

 何というか、イケナイ気分になりそうな嬌声をあげるのは耳の毒だ。


「……また大きくなったか?」


 と、しどー君がマジメガネな顔で燦ちゃんの重みを確認するように言う。

 楽しんでいるというより、マジメに比較するような口調で言ってるのが何というか笑える。

 そして比較対象となる私のに片手が来て、ムンズと下から支えられる。


「大きくなってるな……初音より二回り」

「二回り……?」


 春先まではあまり変わらなかったサイズの筈で、夏休み前でも一回りだったきも……。


「燦ちゃん、太った?」

「体重は微増……一キロ……だよ」

「いつから?」

「……夏休み前」


 ニヤニヤと言ってやると、プイっと口を閉ざしてそっぽを向かれてしまう。


「別にこれぐらいなら良いと思うけどな。

 僕が揉んで育てたと思うと、それはそれで趣がある」

「ん……あ♡

 誠一さん……ん♡」

「むー!」

「初音は初音で丁度いいサイズのままで、好きなんだがな?」

「ん♡」


 ムニムニと燦ちゃんの感触を楽しむ余裕が出てきたか、マジメガネから笑顔が零れる。

 誰がこんな変態チックな言葉を吐くエロメガネにした……私か。

 私がエッチして育てたと考えると、それはそれで趣がある。

 さておき、


「燦ちゃん、ウェストは?

 ん♡」

「……胸のトップに比べたら全然増えてないよ。

 んっ、誠一さん♡

 お腹揉まないでください♡」

「油断だけはダメよ?」


 と、お互いにしどー君の手つきを楽しみながら言いあう。

 なお、この日は三人で楽しんだ。

 何というか、姉妹にちゃんとしてくれるので、しどー君は有り難い絶倫なのだと思う。


「初音ママの中に戻ってきて♡」


 とはいえ、こんなセリフを吐きながらのママプレイは倒錯しすぎたと思う。

 なお初音ママだと、私のママがどうやらよぎるらしく、よろしくなかったので、三駈ママに切り替えた。

 すると、しどー君が滾ってくれたので、自分の存在意義への疑問を誤魔化すことが出来た気がした。

 その時点では。


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