第146話 白い兄妹ですが、なにか?
「やっほー、平沼さん」
っと来たるは、学校サークルのブースだ。
漫研とコンピ研の合同スペースだ。
周りも大抵はどこぞの学校の部活などが多く、割りと人が少なく落ち着いている。
「あ、こんにちわ。
入って、入って」
そんな中、やたら周囲の眼を集めている少女がペコリとお辞儀し、私としどー君をサークル内へといれてくれる。
やはり先ず色で目立つ。
そしてロリ巨乳で目立つ。
近未来学生服もあいまって何というか、幻想の生物か、ファンタジーのヒロインか何かに見える。
私も負けてはないんだけどね? ふんす。
私だってウィッグ以外は天然だ。
人目を集めている。
バランスの良い背に巨乳にはじるとこなし!
「どう、調子は」
「ボチボチかな?
そもそも最初から売れるような贅沢は望んでないですし。
望には本気を出しすぎないようにさせましたし」
「賢明ね。
あいつなら会場内の人をかき集めるぐらい造作もないだろうけど、混乱というおまけ付きだろし……」
「あはは。
その通りなんだよ……」
乾いた笑顔を察するに既に何かあったらしい。
南無南無。
「で、他のメンツは?」
「望はちょっと呼ばれてますし、他の人たちは買い出し中らしいです」
「ていのいいお留守番ね」
「まぁ、これはこれで」
「1つお願いしまーす!」
「あ、はーい!」
と会話中にも売れていく。
「よろしくお願いいたしますね?」
と、笑顔を浮かべながら、客にお釣りを丁寧に渡していく。
そして、握手。
それを受けたお客は顔をだらしがなくし、去っていく。
「……平沼さん、変わったわよね……」
「そうだな……」
クラス内の評価として、最初は委員長のおまけ扱いだった。
最初はオドオドとしたコミュが苦手な陰キャなイメージで、今みたいに積極的なタイプではなかった。
「望が変えてくれたんだよ」
聞こえてたらしい。
頬を赤らめ、ここに居ない人のことを述べはじめる。
「アルビノで虐められて自分が嫌いだったけど、望はそれを好いてくれたんだよ」
まるでネモフィラの花が咲いたような笑顔を浮かべながら嬉しそうに話す。
やばい、可愛い。
私ですら魅了されてしまうのでしどー君はと見ると、いつも通りの涼しい顔をしている。
なんというか、マジメガネで安心した。
「知っての通り、入学したばかりの頃は家族をしはじめたばかりの望にアルビノを
自分を好きになれたし」
目立つ容姿、アルビノはソラが手を回した虐めに繋がった。
委員長や
結局、委員長が更に陰湿に……クラス全員が扇動されていたとはいえ、先日、ソラに謝罪した。
だからというわけではないが、
「あの時は止めれなくてごめんなさい」
「それは気付かなかった僕もだ、申し訳ない」
改めて私たちも謝罪しておく。
「別にいいんだよ。
あれは私が弱くて、このアルビノのせいだと逃げてたから」
「そう言ってくれるとありがたいわ」
何というか、ソラもこの娘も精神的にかなり強く感じる。
いや、強くなったというべきなのだろう。
「結局、ソラさんと仲良くなったのも望がマッチポンプ以上に家という呪縛から彼女を救ってくれたからだし、リクちゃんもそう。
お母さんと仲直り出来たのも望のお陰だし、彼は何だかんだ私たちにとって魔法使いなんだよ」
ノロケだ。これはノロケだ。
恋人にする、つまり私がしどー君を話題に出すときと同じオーラを感じる。
「うーん、やっぱり委員長のこと好きでしょ?
性への考え方レクチャーをリクちゃんに教えてあげた時に一緒に聞いた質問ではあるけど」
「初音、いつそんなことを……?」
「しどー君が燦ちゃんの初物を食べるためのデートしてた時の話よ」
とりあえず、会心の一撃でしどー君を
恋バナにしどー君をいれるとややこしいのだ。
「恋愛かどうかはやっぱり判らないんです。
抱かれたいと性欲の対象だったり、家族としては大好きで、私を一番にして欲しいとは思いはしますけど」
頭がいい分、自分の感情に整理がつきすぎている感じなのかもしれない。
なお、モラルは地平線だ。
「ふーむ」
思考を変えるためにマジメガネを観る。
彼も頭が良くて真面目で理性が勝つ、とはいえ根っこは感情的な熱血だから違う。
そういうところが大好きなわけだが。
うむ。
なので、
「難しく考えずにやってしまえばいいんじゃないかなと、思うんだけど。
体が気持ちに追いつくことも……」
「何をやってしまえば、なんだい?
このビッチが」
「げ、委員長!」
と、私たちの後ろから声を掛けてくるのは、白いアルビノの男性。
やはり目立つのか、周りの視線を集めている。
相変わらずの目線の切れ目が鋭く、周りに威嚇しているような印象を覚える。
実際は割と愉快な奴ではあるのだが。
「残念でした~、私はビッチはビッチでもしどー君、専属だもんねー」
「何が残念かはよく判らないが、同情を士道に向けておこう」
「いい彼女だぞ?
家庭的だし、気遣いも出来るし、そして床上手だ」
珍しくしどー君が惚気ておる。
流石の委員長もこれには驚いたらしく、眼を見開いている。
「……変わったな、マジメガネ」
「そりゃ、これが彼女だからな……」
っと、私を生温かかい目線で見て、抱き寄せてくれる。
「僕も変わるわけさ」
そう言い放つしどー君がカッコいい。
心臓が止まりそうだ。
「ルールで口論してた青二才な真面目腐ってた時より、今の方がよっぽどいい」
っと、委員長が呆れたような、嬉しそうな笑顔を浮かべてしどー君を観る。
何というか男同士の友情みたいなモノを感じて、少し嫉妬を浮かべる。
裏で色々やっているようだしね。
男女と男同士というのは違うが、複雑だ。
「委員長も、変わったんじゃないか?」
「ほう?」
「最初は抜き身の刃のようだったしな。
怖い、と正直、僕も思った」
それは私もだ。
というか、クラスの見解としてこれは一致している。
「今では、何というか、愉快な奴だと思う」
「……心外だね?」
「何だかんだクラスメートへ配慮は欠かしてないしな」
委員長が、どう反応していいか悩んでいる。
もしかして他人から褒められることに慣れてない?
「妹ちゃん、妹ちゃん」
「はい?」
委員長妹を呼び、
「……委員長を褒めて観て?」
コソッとそそのかす。
ニコリと白い可愛い笑みが浮かぶ。
「望」
「……美怜、顔が怖いんだが?」
「望はイイ子だよ」
ニコニコと妹ちゃんはその様子を嬉しそうに観、委員長を抱きしめる。
背の差があるため、腰のあたりに抱き着くようだが、白い姿の美男美女だ。
栄える。
「ははん……」
委員長はいつも通り、そんな彼女の頭に載せて撫でているように見えるが、私は見逃さなかった。
その手が若干ぎこちなく、震えさせていることにだ。
狙い通りに動揺させれてのかと思うが、それだけじゃないと、私の第六感が囁いた。
つまり、兄妹の域を超えて意識しているのだと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます