第24話 ビッチにも発情期がありますが、なにか?

「授業終わり!

 放課後!

 生したい! 生!」


 っと、思う存分本能をむき出しにして彼氏へと願望を告げる。

 大事な所は二度強調するぐらい、私は解き放たれた獣だ!

 

「せめて家帰ってから言えとだな……」


 西舞鶴駅、京都行き電車への乗り換えで歩きながら会話を楽しんでいる最中だ。


「ぶー、つーれーなーいー」

「はいはい。

 僕はマジメガネだからな」


 そういう彼の今日はメガネだ。

 妹に万が一でもちゃんとしたしどー君を見せたくなかったからだ。

 さて最近、そんなしどー君はストレートな物言いには慣れられてきているのか、戸惑わない。

 うーむ、セクハラやアピールの方向性を変える必要があるかもしれんね?

 ともあれ、


「水泳の授業、私見てたでしょー」


 ちょっと意地悪したくなったので言ってやる。

 スクール水着の私に向けられるクラス男子の視線。

 クラスのおっぱい星人はモチロン、複数人から見られていたのは確かだ。

 なんせ、一番の巨乳が体の都合で水泳に出れないので、私が一番なのだ。

 ふふふ。

 一番、良い響きね。

 私はやるときはトップが好きだ。

 その中には当然しどー君の視線が合ったわけで、


「見てた」

 

 あっさり自白しおった。

 いつものしどー君らしいと言えばしどー君らしい。


「どうだったー。

 ふふー」

「スクール水着小さくなかったか?

 胸元がパンパンであふれそうだったわけで」

「毎日、揉まれてるからね、大きくもなるわよ。

 ほら、しどー君が育てたおっぱいだぞ?」


 腕に絡んで押し付けてやると、しどー君が赤面する。

 確かにちょっときつかった気がする。

 垂れないようには気をつけねば……。

 さておき、


「褒めてくれないの?」

「何というか輝いて奇麗だった」


 こういう臭いセリフも躊躇なく言うのがしどー君だ。

 ビッチ喜ばせてどうする気なのだろうか、この彼氏は。

 ふふふ。

 言わせといてあれだがここまではテンプレ。

 気分があげあげになってくる。


「それに僕の彼女だと思うと、鼻が高くてな。

 体を知っているのも僕だけだし」

「恥ずかしいセリフぅ……」


 予想外に追い打ちが来た。

 感情がふにゃーっとなる。

 幸せである。


「初音って結構、攻められると弱いよな……。

 初心というか、純真というか……」

「そりゃ、処女でしたし、乙女だったわけよ?

 処女ビッチでしたが、何か?」


 そもそもにと続ける。


「ビッチというのは尻軽女という意味があるけど、ヤリマンに限定されないわけよ。

 ビッチの中にヤリマンがある訳ね?

 私に関しては、昔は男性と遊べればそうでよかった系のビッチ。

 ……訂正、男をもてあそぶのが好きだった系ビッチね」


 ビッチにも色々ある訳だ。

 一緒くたにされても困る。


「今の私は性的にオープンなビッチなのよ。

 ……しどー君にだけだけど。

 もてあそぶのもしどー君だけだぞ?」


 上目遣いを意識して笑みを向けてやった。

 そしてむぎゅーっと抱き着き、女の武器である柔らかさで刺激してやる。


「こんな彼女は嫌い?」

「いや、大好きだぞ?

 僕は初音のどんなとこも好きだからな?」

「あはっ♪」


 ハッキリ言ってくれるしどー君が大好きだ。

 周りから嫉妬な視線を感じるが、いいスパイスだ。

 ちなみにウチのクラスはもっと酷いのがいるので、もっとしていい筈だ。

 さておき、


「しどー君もエッチ……したいの?」

「……あぁ。

 初音を感じたい」


 あ、ヤバい。

 これ以上は抑えきれなくなる。

 珍しいことだ、求められるのは。

 こういう新鮮な反応が楽しめるのなら、エッチをたまには控えるのは有りかもしれない。

 とはいえ、根がビッチの私が今後耐えれる気はしないわけだが。

 特急電車が来た。

 隣り合って座り、今か今かと到着駅を待つ。

 手は繋いだままだが会話は無く、単語帳を読み込みあっていた。

 一言でも発したら、私の情熱が漏れ出そうだったからだ。

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