第9話

バターンとノックも無しに扉を開けて中に笑いながら入って来るのは黒髪に青い瞳をしたこの国の王だった。

「ラスー 助かった 女のドレスや宝石の買い物に付き合わされて辟易してたとこだったんだ」

そう言いながら空いているところに座るのを見ると宰相のゼフェルはイラっとした感情を押さえつつ

呑気そうにそういう相手をみる。

「ディアウォード様 何度ももう上げておりますが

側妃様とダイアナ様の浪費は国庫を圧迫しております。そろそろお止めになる事をお考え下さい」

「王太子の母と妹が恥をかくような姿はできないと

あの二人に言われ アレの実家からも言われ止めら手立てが見つからん」 

あれば教えてくれ・・とソファーに持たれて天を仰いでいるのを見ると宰相はその姿に呆れたような顔をする。

「いくらドレスが高価でも顔は変わらないくらい言ってやれば良いのです」

しれっと毒を吐くとディアウォードはぶっと吹き出しながら辛辣な事をいう宰相をみる。

「言えるもんなら言いたいがな・・そういう事を言ってるからゼフェルはモテないないんだぞー なぁ

ラン そう思わないか?」

一番信頼している部下であり親友のランティスに

そう問いかけるとランティスは冷めてきた紅茶を飲みながらその言葉を両断する。

「俺はアレらに付き纏われるくらいなら辺境に移転したいと思ってるが」

「おいおい ちょっと言い過ぎじゃ・・」

二人のいつもと違う態度に戸惑いつつ何か違う話をと思っていると扉がトントンとノックされる。

「ランティス将軍 カイザードです。入室をしてよろしいでしょうか?」

父から頼まれた少女を連れて入ろうとしたら中から

父と宰相そして王の声が聞こえてきたので一言声をかける。

「ああ 入れ」

短くそういうとディアウォードは娘に対していつもこの様な態度を取っている友人にイラっとしたようにいう。

「ラン カイザードは娘だろうが なんでそんなに突き放したような態度を取るんだ」

「娘であろうとここでは部下だ 兄のラディルカとて同じ様に接している。公私混同をするつもりがないだけだ」

ふいっとそっぽを向いてそう言うと失礼します。

といいながら礼をして後ろにいた少女の手を取ると

中にへと入ってくる。

ハーフアップに結い上げた銀の髪に淡い青のスッキリとしたドレスを着た少女を見るとさっきまで親友を咎めていたディアウォードは言葉を無くしてエスコートされて中に入ってくる少女に釘づけになる。

「フィー?・・フィーっっ 今までどこに??東の森をくまなく探しても居なかったっ ディニーは?

ディニーはどこだ??どれだけ探したとっっ」

腰に手を回してきつく抱きしめながらそう言うと

ドゴンと鈍い音がする。そしてその瞬間ディアウォードはうっと短く唸ると床に足をつく。

「いきなり何するのよ!!この変態っ」

その言葉に隣にいたカイザードは真っ青になり 

ゼフェルは何があったのか分からず唖然としている。ランティスだけが見えていたのかぶっと吹き出すと大笑いをしはじめるのだった。





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