第8話

「最高級のローズウォーターですわー」

「お肌をしっとりさせる 香油でございます」

バチャバチャとかけられているがどう見ても二級品だな これ・・と思いつつ黙ってされるがままになっていると湯殿の扉がガチャと開く。

そして男装をした女性が入って来ると今まで自分にローズウォーターだの 香油だのとかけていた相手たちが跪まづいて礼を取りはじめる。

「このお方にご無礼など致してはおらぬだろうな」

その冷たい声にさっきまで色々のものをバシャバシャとかけては笑っていた女官たちが微かに震えはじめる。

「ち・・ランティス将軍よりその方に

無礼を働いたものはその場で処断せよと命じられ来たが その湯殿の色はどういう事だ?」

濃い色の入浴剤に本来なら出てから身体を保湿する為のローズウォーターと香油が一気にバスタブに入ってりゃねぇと 震えながらひたすら頭を下げている女官を見るが庇ってあげようと思う気が一切起きない。

「あー 全部一気にかけるものらしいですね

ここの文化って他とは違うんですね」

びっくりびっくりと言いながら笑うと男装の美女は

腰から剣を抜いて平伏にかわった女官の首元に剣を当てる。

「言いたい事はあるか?」

「ちがっ 違いますっっ 私は手が滑ってしまっただけでっっ」

ビクビクと震えてるのを見るとどうでもいいとは思うけど後々面倒になりそうだなととも思い やった二人の首根っこを捕まえて浴槽に突っ込む。

「あはは 私も手が滑っちゃったわー おあいこ

だからこれで あと 油臭いからこれ取れるハーブのお湯が欲しいんだけど」

ぶくぶくと女官を沈めつつ 言っていると慌てて女官長が駆け込んでくる。

「カイザード様っひ 姫様何がございましたか」

女官長シルヴィナの慌てた声と姫様という敬称に父が何故無礼したものは切れと命じられたかが分かった。

剣を震えている相手に突きつけるとそれを弾いて

まあまあと嫌がらせをされた本人は笑い初める。

「手が滑ったんでしょ?私も手が滑ってこの人達

ぶくぶくとなってるしね 取り敢えずこの油なんとかするお湯が欲しいのだけど」

それだけ言うと湯殿の湯煎口に頭を差し出して髪を濯ぎはじめる。

女官長は慌てて飛び出して違う女官をつれ 脂を落としていた少女にこちらにっっと悲鳴混じりに席を用意してマッサージをはじめる。

先程の対応を見た時に父が取りおり言っていた聖女のような賢者様は誇張ではなかったのだと思った。


その後持ち込んだドレスを召された時 こんなに美しい方は見たことがないと思った。

ドレスを召された時はいつもそう思っていた。

口さえ開かずという限定付きだったが・・



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