第7話
二人が昔を思い出して俯いていると扉がトントンと
ノックされる。
「入れ」
ランティスが短くそういうと手に何着ものドレスを持ったランティスと同じような赤い髪をした少女が飛び込んでくる。
「父上 お待たせいたしました。 いくつかお持ちいたしましたがこれでよろしいでしょうか?」
それを見ると短くああと返事をする。
「女官長達が身支度に湯殿に行っているから見張れ
無礼を働いた者は私の権限だと言って切れ」
「え?女官ならば地位を落とすだけでよいのではありませんか?なにも切らなくとも・・」
父親の言葉にやり過ぎだと言おうとするとキツく睨まれる。
「ならば切れる者を呼ぶまでだ 下がれ」
ここで引いたら駄目だと思い威圧でたじろぎそうになりながらも必死に耐えながら深く息をして膝をつけて頭を下げる。
「父上に刃向かい申し訳ありませんでした。お役目を全うさせて下さいませ」
「すぐに迎え」
冷たくそう言うと失礼しますとだけだけ言って退出して行く。
「お主の正室も難儀な女だな・・」
「女の嫉妬は何をしでかすかわからないってのはアルの時に勉強しましたからね・・どこで見張られるかわからんくらいなら冷たく突き放してたほうが
安全ですよ」
側室の子であるカイザードを扉越しに見送ると寂しそうにそう告げる。
「あの戦いで武勲を挙げたのは数名だと言うのに
何もしなかった共達が今では大きな顔をしている」
我らの忠義はなんであったのだろうなと自嘲気味に言われるとランティスはそっと目を閉じる。
「不謹慎って言われそうだがあの頃が一番 充実してた。あーだ こーだって戦略練りながら薄いスープとワインに硬いパン齧ってな」
「お前とは気は合わんがそこだけは同意だ」
紅茶を口にしながら昔の事を思い出す。
尋ねてきた少女は自分達を絶望から救ってくれた
女性に瓜二つだった。
だが まだこの二人はあの少女がここを絶望感に
貶める為に来たのに気づいてはいなかった。
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