第5話

案内されて入った場所は山ほど書類はあるがキチンと整理されていて置いてある家具も飾り気はないが

シックで高級なものだと一目でわかる。

「お掛けくださいませ。」

そう言われて素直に座るととチリンチリンとベルを鳴らして女官を呼ぶ。

扉を叩き入ってきた女性はこっちを見ると

少し顔をしかめてから閣下と言われていた老人に軽く頭を下げる。

「ランティス将軍に今すぐここに来るように 10分以内に来なければ騎士団の壊したものは自腹にすると言っていたと伝えておけ。あと お茶の用意を」

「かしこまりました」

それだけいうと部屋をでていく。

「もうし遅れました。私はこの国の宰相でゼフェル・アドミラル・ガードナーと申します。」

「初めまして 私はディスティニー 養父はディニーって呼んでますけど」

それを言うとやはり・・と言いながら両手を取って

泣き始める。

「やはり・・お探し申しあげておりました。」

わからないくらい弱い魔法で嘘を見抜けるように細工していたけどこの人の言葉と涙は本物の様だった。それからトントンととびらが叩かれると手を離して目尻に浮かんだ涙をハンカチを出してぬぐいはじめる。

「入れ」

短くそういうとさっきの女官がお茶の用意をして中に入ってくる。

見るからに間に合わせですと言わんばかりのクッキーに茶器だった。

そして老人の方からお茶を注ごうとすると厳しい言葉が飛ぶ。

「何をしている!客人が先に決まっているだろう

それにこの茶器はなんだ」

「そ・・その・・」

言葉に詰まっていると開いている扉からあはははと笑いながら赤い髪に緑の瞳をした男性が入ってきて

椅子いる市井の男物の服を着ている相手をチラッとだけみて言う

「どうせ 市井の者にどうして私がお茶をって言うやつだろ?この菓子も不味いしな・・」

机のうえにあったクッキーを食べながらそう言うと

ゼフェルは違うベルを鳴らしはじめる。

「失礼いたしますっ ゼフェル様どうされましたか?」

「私の大事な客人にこの様なお茶を出してきたのだがこれがそなたの教育か?」

置いてある茶器に菓子を見るとさっきの女官とは少し違う服を着た年配の女官は申し訳ございませんと

慌てて深々と頭を下げる。

「今すぐ 私がご用意を マデリーンすぐにここを片付け下がりなさい。」

「女官長様 これにはっ」

「片付けて下がりなさいと言ったのが理解できないのですか?早く片付けて退室しなさい」

言い訳をしようとするのをビシッと止めるとその女官はこっちをキッと睨んでワゴンを押しながら出て行く。

ー二流どころか三流かぁ イタいの多そうー

自分が育った館の女官達だったら有り得ない程の

態度だった。

客人がどんな姿をしていても顔色一つ変えないし笑顔でもてなしや仕事をしていた。

ましてあの様に主人に恥をかかせるような者は1人も居なかった。

ー信用できる女官はいなさそうねぇー

出来るだけ自分のことは自分でしないとなぁと改めて思うのだった。









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