もしも二人でデートして 7月4-1.仲直り
あの一件から一ヶ月メールが来なくなった。
焦る。
嫌われたのかもということもそうだが、間に合わなくなる。という不安があった。
世間一般には夏休み。
何か手を考えないと。
それよりあの時どうすれば良かったのか本当にわからない。
わからないのにみゆに聞くのはダメな気がして、どうしても聞けなかった。
繰り返すがボクにはこんなことを聞けるような男友達がいない。
_詰んだな。
いっそ忘れたフリでもして聞いてみるか?
そんな恐ろしいことができるか!
なにゆえ恐ろしい?
知らないのだろう?聞けばいいじゃないか。
ダメなんだ!それを聞いたら終わる。
それが本当に知らないヤツの言うことか?
「ゆうた!お客様来てるわよ?」
ほら母さんが呼んでいるぞ?
わかったよ。いくよ。
タッタッ
「みゆさんって方!」
待て何処へ行く。
なぜ引き返す?
だ、だだだだって今会っても会話できんじゃん。
何だ。いつもできているつもりだったのか。
うっせぇわ!
「上がって」
き、来たぁぁぁ!
「すみませんお母様。お邪魔します」
トントントン
「2階の奥の部屋ね?」
教えんなよ!
教えんでもわかるだろすぐに。
コンコン
「はい」
扉を開けずに彼女は
「ゆうた。怒ってる?
この間はごめんなさい。
ちゃんと謝りたかったんだけど、なかなか整理がつかなくて。
こういうことメールで謝るのもどうかと思ったし」
彼女は扉に額でもくっつけているのか、やけに声が近かった。
「おかしいよね。自分から誘惑しといて触られたらやめるなんて」
私さ。初めてなんだ。
恋したの。
初恋だから長く楽しみたかったんだ。
「わかるよ。ボクも同じだ」
ボクは扉に向かって声を返していた。
実際これが初恋にして最後の恋だということをボクの方は確認済みだった。
「だからさ。海行かない?今から」
この恋、一緒に楽しもう?
ガタガタッ
「え?どうしたの?」
あ、いや、何でも。
ちゃんと座っていたはずのベッドからボクは滑り落ちていた。
今から泳ぎに行く!?
マジか!マジなのかそれは?
堪らず扉を開けたボクは不意打ちの姿にハートを掴まれた。
「おはよ」
斜めに麦わらを被った花柄の黄色いワンピースはみゆの肩までの髪とよく合っていた。
ハッとしたボクの口を塞ぐ彼女。
余計ぼんやりしてきた。
「おはようのちゅー」
母さんに報告して、彼女と手を繋ぎ外へ出たボクは眩しい朝日に手をかざした。
「ゆうた。私ゆっくり歩きたい。こうしていい?」
指先に彼女の指先が絡む感触。
ちょっと!これはアレですか!アレですよね?
恋人繋ぎだな。
しかもしっかり胸と胸の間に、、、
ゆーなよ!
恥ずかしいから!
そうなんだよ。
みゆのは大きいからそういうことになっちゃうんだ。
わざとかもな?
そんなはずは!
「どうしたの?」
あ、いや、別に。
という言葉は出てこなかった。
自宅からバスを乗り継いで20分程度、目的の場所に着くまで腕は離してもらえなかった。
幸せじゃないか。
うるさい。
ボクの水着をみゆが選んでくれるというので、まずはショッピングモールの方にやって来た。
だだっ広いモール内は店を見つけるだけで時間もかかり、それからゆっくり水着を探しているとそれなりの時間になってしまった。
「あぁあ、今から海は無理だよね?」
残念がるみゆに申し訳なくなって、
「今からでも、、」
言いかけたボクの口をみゆは人差し指で止めて、
「またの機会にするよ」
その代わり、
「私の水着、下着、裸、どれが見たい?」
あ、た、と、、、
別に公衆の面前とは言っても耳打ちだから問題はない。
ないが、耳打ちはダメ!
「み、水着で」
よく言った。
「興味ないの?珍しいね」
いや、あるよ!
と両手を前に出すと彼女は一歩前に出た。
くにゅん
「ジョーダンだよ」
揉まれたままの姿で、みゆは笑って見せた。
「続きはウチで」
ボンッ
熱くなったボクの頭が爆発した。
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