「掌小説集」
蛙鮫
「ウラオモテ」
オンボロアパートのベランダから眺める君。日中は姿を現さないが、夜になると眩い輝きを背に堂々とした姿で周囲を照らし始める。
口から吐いたタバコの煙が君の輝きと重なり、溶けてなくなった。
君のところには僕たちのような生命体がいるのか? 蟹、兎、もしくは竹から生まれたお姫様かは分からない。
昔、宇宙飛行士が君の元に行った事があるらしいが、そこから人が行った記録はない。単に期待したものを目にすることが出来なかったか、世間に公表できるような内容ではないのか。理由は定かではないが、一つ言えることは僕は君の表面上の美しさしか理解することが出来ない。
人間もそうだ。どれでも端正な顔で外面が良くても近くによると、外面の美しさとはかけ離れた醜いものを見ることがある。表裏一体など存在しないのだ。
タバコを吸い終えた僕は逃げるように部屋に入り、カーテンを閉めた。
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