第一章 シャイニングビート

第1話 入部(その1)

 春の四月といえば学生や、社会人になりたての若者たちにとっては異世界のようなわくわくと不安でいっぱいで右も左も分からずに失敗もすれば成功もある山あり谷ありの人生の始まりともいえるスタート地点だ。桜も満開の中、通学路を必死に走り入学式に遅刻しないようにとタイマーを間違えて早めにセットして慌てるものもいれば寝坊するものもいる。


 桜咲く校舎に入り少女は夢の高校生活、やりたいこともまだ見つからず自分にはどんな輝きを見つけられるのか不安という程ではないがまだ明確にはなかった。


 少女は自分のクラスが何処なのか学校の掲示板に貼られている用紙を自分と同じ侵入生の人混みに紛れながら確認をしており、おしくらまんじゅう状態になりながらも必死になっていた。


 「私はどこのクラスになるんだろう?」


 やっとこさ自分の名前をゆっくりと探せると思った少女は張り紙に顔を近づけながら上から下へ探していた。


 「ん~っと、私の名前はどこだ~…あっ!あった!」


 名前を見つけた少女は飛び跳ねるように喜び、すぐさま自分の名前の書かれていた教室へと走り、廊下を走らないようにと教師から注意を受けれていたことにさえ気づいておらず何もかもが未知なる世界で楽しみでいっぱいだ。


 少女は大好きなハードロックバンドのレッドツェッペリンの楽曲を歌いながらくるくると回転し、教室へと向かい他の生徒達は彼女のことを引き気味に見ながらもあまりの歌の上手さに感動すらしているものもいた。少女にとってロックンロールとは生き様でもあり、自分の人生に必要なものである。


 もしこの世界にロックンロールがなければ少女は今のように楽しく明るく生きることはできないと思ってしまう程にロックンロールを愛している。教室へと到着した少女は自分の席を探し、椅子に座りカバンからノートを取り出し絵を描きだした。


 大好きなアニメのイラストを描きながらまた笑顔でハードロックを歌い、その歌声は廊下にも響き渡り一瞬にして生徒達はハイテンションになったりと幸せな気分にしていることは無自覚でやっていたのだ。


 「へえ~、あなたって歌うまいね」


 「ありがとう、この歌を完璧に歌いこなすために毎日家でも歌っているんだ~」


 「そうなんだね、私は明日奈。あなたの名前は?」


 「私はカレン、カレン・スペンサーよ」


 カレンはゆるくパーマのかかったような金髪と綺麗な碧眼で誰もが羨むナイスバディで推定バストサイズは恐らくFカップ程度で身長は160cmと女子の中ではそれなりの高さをしている美少女だ。


 明日奈はそんなカレンを見て歌声とイラストに惚れてしまい、カレンのことをじーっとガン見していた。


 「カレンはさ、日本語上手だけど何年くらい日本にいるの?」


 「日本には五歳の頃から住んでいて私の両親はアニメとロックが大好きなオタクなんだ~」


 「アニメとロックに関してはよくわからないけどカレンは本当にすごいよね、あの歌声が廊下からも聴こえちゃうほどの美声だから」


 「そんなに褒められると照れちゃうわ…」


カレンは明日奈に褒められ顔を赤くしながらもイラストを描き続けていた。

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