第12話 こぼれ落ちる何か



僕の時間はいつの間にかくだらなものにすり替わって


ひたすら終わりを待つだけになった


元々どう足掻けば此処から抜け出せるのか知りたかった訳じゃなくて


どうやって苦しみながらその痛みを忘れる時間を生み出すのか模索していた気がする


でも生まれ持った苦しむ習性など今更変えれるはずもなく


冷めた目で自分を蔑んで


また心を失って


何だこんな陳腐なものと薄目で笑って涙を流した


開き直ってしまえば良いのに


人が怖くてたまらない


僕は人が嫌いで


でもとても寂しがりで


とても孤独で


とても憂鬱で


かまって欲しくて


でも放っておいて欲しくて


でも誰かと話したくて


気にして貰いたくて


嫌われるのが怖くて


なのに優しくいれなくて


自分が大嫌いで堪らない



自分の事が大好きな人が眩しい


とても羨ましい


僕は自分が大嫌いだから


どうやって生きていけば良いのか本当にわからない


でも生きていかねばならないのだろうと


常識と秩序と慣行によって縛られ


無駄に生きている


どうして僕は生きているのだろうと


どうしてあの時あのまま千切れてしまわなかったのだろうと


いつも考えるのだけれど


僕に生きろと誰かが言うから


僕は生き続けなければならない  


続けなければならない


ならない


のか……

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