第13話 棘 



僕の核は棘で出来ていて


内臓や肉を貫いて体外へ突き出ている


触らない方がいいよと蹲りながら


手を差し伸べようとする人に言ったのに


聞く耳持たずに僕を助けようと触れたから


その指は棘に貫かれた


血だらけになっているのに


大丈夫だよと嘯いて


僕はまた血の涙を流す



僕の核は棘でできていて


心臓も顔も貫いて


僕は醜い姿をしてる


可哀想にと抱きしめられて


束の間の暖かさを知っても


僕の棘が突き刺さり


床にぼたぼた血が落ちる


ずっと流し続けている僕の血だと思ったら


棘に貫かれた他人の血



僕の核に巣食うそれは


僕の内臓を貫いて


僕の肉を貫いて


僕の骨を貫いて


僕の眼玉を貫いて


体の外へ突き出ている


僕に触れないで


傷つかないで


僕に近づかないで


傷つかないで


もう傷つけたくない


誰も傷つけたくない


触れないで


見ないで





言葉が口から逃れた



タスケテホシイ






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