第72話
「よし、それじゃあ皆で王城に行くよ」
あの後、不毛な言い合いも終わり、しっかりと朝ごはんも食べて、アテナ主導の元、王城へ今から一瞬で転移するらしい。
あ、勿論俺が卒業したことはセラフィスとカリーナ以外に気づかれました。エリーの無言でポカポカと叩いてくるのが可愛かった。
これから、俺たちは最終決戦に向けて、アテナ王に色々と説明をしなければならないし、きっと、終わるまでこの屋敷に帰ってくることは無い。
ならば目標はたった一つ。とっととその次元の放浪者ってやつをタコ殴りにしてゆっくり過ごす。それだけである。
何せアテナは神だからな。そこら辺ほんと頼んます。
「それじゃあ転移するからねー。はい、転移」
パチン、とアテナが指を鳴らした瞬間、景色が一瞬にして変わりーーーー
「………大河?」
転移先は、王城の門前かな?そこら辺。んで、目の前に仲良さそうに歩いている五条と、メルルさんの姿。
なんかすっごい久々に勇者見ました。
「……五条」
「おぉ……なんか久しぶりだな、大河。会えて嬉しいよ」
と言い、ナチュラルに俺の手を握ってブンブンと握手する。分かった。お前がどれだけ俺に会いたかったかは分かったから早く手を離せ。
「どうしてここに?」
「いや、なんか今日の朝からすっごい力をこの辺で感じてて……」
「へぇ、流石勇者因子に勇者と認められただけのことはある。二代目とはいえ、ボクの力を感じ取れるとは」
「…………増えてる」
ちょっと待て勇者。なぜ俺をそんな目で見る。
「初めまして、今代の勇者よ。ボクの名前はアテナだ。君達をここに呼び出した張本人であり、神様……そう言っても、君は信じることしか出来ないだろう?」
「…………」
五条は、最初は訝しむようにアテナを見ていたが、やがて何かを感じ取ったのか、直ぐにその目は辞めた。
「……確かに、この人からは何かを感じる……そう、決して逆らえない、そんな感じな……」
「そりゃあ、ボクが君たちの体に勇者因子を埋め込んだんだからね。でも安心して、ボクが能力を強制的に使うのは智くんだけだから」
「おい、こっちは全くもって安心できんぞ」
一体お前何するつもりだ?と、ジトッとアテナを見ると、こちらに向けて舌で唇を舐めた。なんか嫌だなぁ、それだけでなんのために言うことを聞かせるのが分かるの。
日本とかではよく、神は性に奔放とか聞いたけど、あれってまじだったの?
「はは、とりあえず入りなよ、緑川くんも、君に会いたがってたしね」
「潤が?」
潤危うく女体化してしまうところだった事件以来、全くもって顔を見ていない潤。あ、なんだか思うと会いたくなってきたな。よし、前使ってた部屋に皆押し込めたら潤に会いに行こ。
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