第71話

 その後、もう一回アテナに浄化魔法を使ってもらい、体を綺麗にしてもらったので朝ごはんを食べに食堂へ降りることに。部屋を出ると、ヒシッ!とアテナが腕に引っ付いてくる。


「……えへへ……本物の智くん……」


 昨日あんなに触れ合ったと言うのに、なぜそんなに嬉しそうなんですかね……?まぁ嬉しそうだから無理に引き剥がすなんてことはしないし、するつもりなんてない。


「……あ、おはようございます、マスター様、アテナ様」


「アイハか、おはよう」


「おはよう、アイハちゃん」


 エントランスに着くと、ふよふよ~と壁からアイハが出てきた。壁抜け、便利そうだなぁ……。


 昔、ポケ〇ン不思議のダンジョンやってた時、ゴーストタイプが壁の中歩けるのいいなぁって思ってた頃を思い出す。まぁ実際やったらお腹の減りがやばすぎて倒れちゃったんですけど。


 チラ、チラ、と俺とアテナを見たアイハ。何を思ったのか失礼します……と小声で言うと、控えめに、俺の腕に抱きついてくる。


 アイハは霊体で、ご覧の通り壁とかをすり抜けれるのだが、触れたいと強く願えば、対象に触れれるのだと言う。なにそれ、アイハまじ尊い。


 俺とアテナの心の中がほんわかしながら食堂に進むと、今度はシトラスと出会った。


「うむ……ご主人、おはようなのじゃ。アテナと、アイハも」


「あぁ、おはよう、シトラス」


「おはよう、シトラスちゃん」


「おはようございます、シトラス様」


 と、シトラスも俺、アテナ、アイハの順に見るが、抱きつく腕がないと気づくと、ぷくーと頬をふくらませた。何それ可愛い。


「むぅ……我が抱きつくところがあとは後ろか前ーーーーーむ?」


 そして、何やら疑問に思ったのか、首を傾げながら近づいていくるシトラス。何やらスンスンスンと、鼻を動かしたり、シトラスの瞳がちょっと赤くなったりした。


「………ご主人、何やらなんか違うのじゃ」


「………ん?」


 隣に目配せするも、アイハとアテナは黙って首を横に振るだけ。じゃあ一体何が変わったというのか。


「……むぅ、なんじゃか余裕というか、オーラが何か違うというかーーーーーーあ」


 何やら気づいたシトラス。すると、次第に顔が赤くなってーーーってまさか!?


「ご、ご主人…………その……誰としたんじゃ!?」


「やっぱりー!?」


 やっぱりこの子!俺が卒業したことに気づいる!DT卒業すると、何やら普段と少し違って見えることがあるとか、よく聞くけど、あれってマジだったの!?


「だ、誰じゃ!ご主人の初めては絶対我が貰うって心に決めてたのに!」


「へっへーん!何を言っているんだい!シトラスちゃん!初めては正妻の特権に決まってるじゃないか!」


「のじゃっ!?こ、この淫乱女神!」


「淫乱で構わないもん!智くんと結ばれるならボク淫乱でいいもん!」


 と、何やらヤバい会話をしだしたので、俺は咄嗟にアイハの耳をおおった。


 その際、俺に触れられてあわわわわ……と慌てているアイハが唯一の癒しだった。

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