第63話

 困惑するアリアドネ。アリアドネに跪いているヘラ。混乱する俺達。


 だれか。説明を要求する。


「その、ヘラさんが目覚めてからこんな感じなんです。アリアドネさんのことを魔王様魔王様ーって言ってて……」


「それで、アリアドネ様も記憶が無いので、話が噛み合わない状態になっています」


「なるほど、ありがとうエリー。説教忘れてないからね」


 色々あって後にしてたけど、アリアドネにメイド服着せてる説教がまだだから。きちんとお説教するからね。


 ……さて、とりあえず声でもかけるか。


「……あー、その。良かったよ目覚めてくれて」


「………人間」


 俺が声をかけると、ヘラをゆっくりとこちらを向いた。


「そのーーーーーー」


 ……やっべ。何話せばいいか分かんねぇんだけど。こういう時なんて話を続ければいいの?


「………貴様が魔王様を救ってくれたようだな」


「へ? いや、俺は許可を出しただけだけど………」


 見つけたのはセラフィス達だし、俺はその時いなかったから、俺が救ったはおかしいだろ。


「だが、この家の家主は貴様なのだろう?周りの者の態度を見れば分かる……感謝する人間」


「……………」


 正直、驚いている。いや、魔王四天王軍ってほら、勝手なイメージだけど魔王様至上主義的なのがあんじゃん。特に女だったら魔王の依存度がすごい高い偏見がある。


 アスタロトもそうだったけど、ヘラも四天王としての誇りをちゃんと持ってるんだなぁと分かる。バルバトス?あいつは知らん。


「私は、光栄にも魔王四天王の1席に加えさせてもらっている、『破滅』のヘラだ、よろしく頼む」


「お、おう。異世界から来た大河智だ。よろしくな」


 魔族も挨拶の時に握手するのね。


「ーーーそれで落ち着いたところで、ひとつ疑問なのじゃが」


 今まで黙っていたシトラスが、ヘラへ声を掛ける。


「おっと、自己紹介を忘れていたのじゃ。我はご主人に呼ばれ死から舞い戻った吸血魔王ブラッディロードのシトラスじゃ。ご主人の嫁一号なのじゃ!」


「んぶっ!?」


 シトラスがいきなりなことを言うので、思わず吹き出した。


「シトラス様。一号は私です」


「違うよね!?エリー!今そこ張り合う場面じゃないよね!?」


「いいえ、智様。一号と二号では意味が思いっきり違うのです。マウント取られます」


「マウント!?」


 一体なんのマウントなの!?


「あ、じゃあ私はこの流れで行くと3号ですか?」


「か、カリーナまで………」


 というか、君まだ成人してないからね?頑張ってあと5年待って欲しいなぁ……。


「……私、4号?」


「それなら私は5号ですね」


「なら私は6号ね……良かったわね智くん。図らずしもハーレムよハーレム」


「待って待って待って待って」


 セラフィスもアイハもグリゼルダさんも待って。話、話の流れ脱線してるから。


 いやっ、男としては非常に嬉しいんですけれども!!

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