第61話

 とりあえず頑張ってグリゼルダさんには腕を離してもらい、エリーの元へ向かう。今から君には説教だ。


 そう思い、グリゼルダさんと共にエリーの元へ向かっていたが、突如として警報が鳴り響く。どうやら、この家に何者かが急接近しているようだ。


「マスター様!」


 す、と幽霊の体を最大限に活かして壁からニュっ、と出てくるアイハ。


「丁度いい。アイハ、グリゼルダさんを連れて隠れていろ、それと、セラフィスとシトラスは玄関前で待機と伝えておいてくれ」


「ですが!」


「安心しろ。この家にはひとつの痕も残させん」


 だって、ここには大切な人が沢山いるからな。


「……と、言うことなので、グリゼルダさん」


「……智くんの傍が一番安全だと思うけど……分かったわ。アイハ、先にシトラスちゃんとセラフィスちゃんの元へ向かってちょうだい、私はその部屋に隠れているわ」


「は、はい!ではマスター様、失礼します!」


 と言い、幽体を最大限に活かして壁の中へ消える。


 とりあえず、グリゼルダさんには部屋の中で待ってもらい、アイハが来た後に皆の場所へ退避してもらうことにする。


「頑張ってね、智くん」


 別れる際、ほっぺに何かを貰ったが気にしないことにする。だって、また顔が熱くなりそうだから。


「セラフィス!シトラス!」


「マスター」


「もうすぐくるのじゃ、ご主人」


 エントランスへ着くと、既にセラフィスとシトラスは待機しており、セラフィスに至ってはもうこの家に防御結界を貼っていた。その行動には後で褒めるとして、今は近づいてきてる謎の魔力反応を確かめる方が先だ。


 さて、一体どんな奴がーーーーー


「おい!俺だ!開けろ!異世界の勇者!」


 ドンドンドンドンドンドン!と荒々しくドアを叩く、そしてその声には聞き覚えがある。


 というより、なんかつい最近ーーー具体的に言うと一昨日くらいに聞いたような………


 ドアを開けると、そこにはーーー


「………アスタロト?」


「異世界の勇者!緊急事態だ!」


 一昨日、魔法合戦をしあった魔王軍四天王のアスタロトが一人の女性を背中におんぶしている状態でいた。


 ………待て、それよりもなんでこいつここにいんの?


「お前、どうやってこの場所ーーー」


「あ”!!んなのお前の強すぎる魔力反応おってきたからに決まってんだろが!いいから中入れろ!そして、お前の言ってたとおり、魔王城がやべぇ!!」


「………なるほど……セラフィス!」


「ま、マスター。大丈夫なの?」


「大丈夫だ。だから結界を解いてくれないか?」


「………分かった」


 俺がそう頼むと、セラフィスはちゃんと解除してくれた。よし、後で頭を撫でてあげよう。


「助かる。それと、すまんがベッドを貸してくれ。一人、重症者がいる」


「分かった。直ぐに手配しようーーーーそれと、確認したこと、ちゃんと話せよ」


「分かっている」

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