第60話

グリゼルダさんを連れて部屋に戻った俺。後ろの方で終始もじもじと期待するかのように俺へ熱い視線を向けるが、マジでしないから。だから期待しないで。


「とりあえず、そこ座った」


ベッドを指さすと、そこに座るグリゼルダさん。そしてそのまま服をはだけさせーーーー


「ってちょいまちー!!」


「やん」


着ているケープを脱ごうとしていたグリゼルダさんを止めて、その手をやんわりと服から離れさせる。


「もう……智くん?何するの」


「だから違うって。そういう意味でグリゼルダさん呼んだわけじゃないんだって」


だから、服脱ごうとするのやめて。お願いだから。俺だってこんな状況じゃなかったら喜んで据え膳頂くに決まってるじゃん。


俺は、ただグリゼルダさんに聞きたいことがあるから呼んだの。好意を寄せてくれるのは嬉しいし、俺だって答えてやりたいけど、まだダメだ。


せめて、この世界の危機を救ってからで。


「とりあえずグリゼルダさん、アリアドネのことについて話してくれ」


「……全く、智くんはガードが緩いのか硬いのか分からないわね。話すのはいいけどーーー」


と、グリゼルダさんは言葉を区切り、妖しい笑みで笑った後に、ポンポンと自身の膝を叩き始める。


…………まじ?


「膝枕。私だって智くんと触れ合いたいのよ?」


俺は、諦めたかのように息を吐くと、ゆっくりと頭をグリゼルダさんの膝に頭を載せる。女の子特有の柔らかさに、胸がドキドキと否応にも早くなり、顔に熱がたまり始めた。


「ふふ……可愛いわ……」


そして、そのまま右手で俺の頭をゆっくりと撫で始めた。


「そうね、アリアドネちゃんは、記憶を無くしているけれど、この家のために色々とやろうとはしてくれたわ。恩返しですって言って、洗濯を手伝ってくれてり、料理の手伝いをしてくれたり、カリーナちゃんの面倒を見たくれたり……ね」


その光景が容易に想像出来る。俺だってアリアドネと一目あった時に、あの子を警戒するのはないとは思っているが、この家には俺の大事な人達が住んでいるのだ。体裁だけは少し疑っとかないとな。


「気づいたらエリーちゃんにメイド服を着せられていたけれどーーーー」


やっぱエリーか。


「智くんがそうやって体裁的に疑わなくていいくらい、あの子はとてもいい子よ」


「………それが聞けて安心したよ」


よっ、と言って俺はグリゼルダさんの膝枕から抜け出す。


「あら、もういいの?」


「あぁ、ありがとうグリゼルダさん」


後これ以上膝枕されると、絶対抜け出せなくなるから。


よっこらせと立ち上がると、グリゼルダさんも立ち上がると、そのまま俺の腕に腕を絡めてーーー


「…………何してるんですか?」


「智くんは満足したかもしれないけれど、お姉さんは満足してないのよ?しばらくこのままでいましょう?」


と、微笑むグリゼルダさん。あの、ちょっと……何とは言いませんけど、ご立派で柔らかいものがあたっーーーーー


と次の瞬間、俺の口が何かで塞がれるような感じがした。ぱちくりと瞬きすると、目の前にはグリゼルダさんの顔がーーーー


「んっ………」


「…………んん!?」


え、これキス!?な、なんで!?


「……ん、ごめんなさいね、あまりにも智くんの反応が可愛くて……我慢できなかったわ」


「えっ、あっ……ちょ……」


耳元で囁かれ、ブルリと背筋が震える。


「ふふ、皆の元に戻りましょう。このまま……ね」


………まじ?


部屋を出たあとも、グリゼルダさんは俺の腕に抱きついたままだった。勿論、しばらくグリゼルダさんと顔を合わせられなかった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

昨日やばい位の豪運を発揮してしまい、現在死ぬんじゃないかなぁとちょっぴりビクビクしてます。結月アオバです。


原神にて、甘雨、モナ、刻晴を当てるというとんでもないことをやらかしました。しかもモナと刻晴に至っては二連チャン。


先に言っときます。明日作品が投稿されなかったら察してください。


既に、知っている方もいると思いますが、新作の方を投稿しております。宜しければそちらの方もご覧ください。

『勇者となった幼馴染が心配なので、こっそり着いていきたいと思います』

『声しか知らない嫁さん本当に付き合う→付き合ってから【改訂版】』

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