第59話
………どうして彼女はメイド服を着ているんだ?
俺は、エリーの後ろで少し隠れながらこちらの様子を伺っている彼女に対し疑問を覚えた。
紫髪を伸ばしており、瞳の色は赤色。そして、魔族の証拠である立派な角が2本、にょきーんと生えている。
見た目の方もかわーーーーこほん、中々整っており、人間の方でもこんなにも整っている女性はいない。
「……さて、エリー」
「なんでしょうか?」
とりあえず、俺はこの元凶であろうエリーに目を向けた。
「なんで彼女メイド服着てるの?」
「………………」
あ、目を逸らしやがった。後で説教してあげる。
「………まぁいいや」
俺は、抱きついているセラフィスに一旦離れるように伝え、アリアドネの方へ歩いていく。
「聞いていると思うが、俺の名前は大河智だ。一応、この館の持ち主ーーーということになっている」
「はい……私は、アリアドネといいます。よろしくお願いします、智様」
「エリー?」
あ、また目を逸らした。
とりあえず、エリーがアリアドネに対し、メイドの心得かなんか教えたのか知らんが、とりあえず様付けはやめてもらおうか。
「アリアドネ、エリーになんて言われたのか知らんが、様は付けなくていい。君はお客様なんだから」
「いえ………その、私、記憶はないのですが……その、他人の名前を呼ぶ時は、様をつけないとしっくり来ないといいますか、なんと言いますか………」
「あら、そうなの?」
体に染み付いてるって訳か。
「それなら、俺のことは好きに呼んでもいい。とりあえず、よろしくな」
「はい。よろしくお願いします」
俺が手を差し出すと、アリアドネは特に躊躇もせずに俺の手を握ってきた。
「とりあえず、エリーは後で俺の部屋に来い。説教してやる。グリゼルダさんにだけちょっと残ってくれ」
そう言うと、セラフィスが悲しそうな顔をしたが、シトラスに抱きつきいてあげてと言ったら直ぐに抱きつきに行った。本当に可愛い堕天使である。
「智様、後でお話聞かせてくださいね。それではお姉様。行きましょう」
「は、はい。カリーナ様」
ふむ、カリーナとアリアドネはそこまで親しくなったと。うむ、良きかな良きかな。
「ぬ、ぬぅ!エリー!ちょっと我を助けるのじゃ!」
「シトラス様!?」
向こうは向こうで、セラフィスより身長が低いシトラスは、セラフィスに思いっきり抱きしめーーーいや、なんか何とは言わないが、セラフィスの非常に豊満なあれに顔を押し付けられ、じたばたともがいている。
あっちもあっちで、良きかなと思いながら、俺はグリゼルダさんに向かい合った。
「それじゃあ……そうだな、俺の部屋で話そうか」
「分かったわ……その、私、一応、初めてだから……優しくしてね?」
「ちげーよ!」
そういう意味じゃねー!あと、一応言っとくけど俺も初めてじゃ!言わせんな恥ずかしい!
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今日休校になったよ。雪で(既に電車に乗っていた)
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