第56話
突然だが、俺の魔法技能は残念ながらそう高くはないし、なんなら他のクラスメイトに比べたら発動できる魔法の数は少ないし、威力もそんなにない。
だから、魔法を覚えるよりは、持久力を伸ばす方に焦点を当て、どうにかこうにかやってきた。
それを今、見せる時が来た。
いくぞ!これが俺の質よりも数攻撃である!
「雷撃よ!薙ぎ払え!」
アスタロトが腕を前に出すと、詠唱をして、なんかの魔法をだす。多分雷撃とか言ってたから雷の魔法。多分。
「っ!」
意識を集中させ、一瞬にして俺は自分の周りに4つの魔法陣と、頭上に3つの魔法陣を展開させる。
「っ、なんだそれは!」
アスタロトが驚いたかのように声を上げるが、俺の魔法は既に発動されている。
まず、自分の身を守るように周りに浮かぶ4つの魔法陣は、シトラスから教えてもらった結界魔法を4つ重ねがけし、頭上に浮かぶ魔法陣からは、それぞれ風、水、雷の魔法がアスタロトに向かっていく。
「チッ!」
防ぐ手段がなかったのか、アスタロトは横に大きく飛んでかわす。
「
「文字通り、死ぬ気でやったからな!これでも苦労したんだ!」
アスタロトの攻撃を無事に防いだ瞬間、更に魔法陣を発動させて、間髪入れずに次の攻撃へ。
これが、俺が魔法を使う時の他は高い方、マシンガン魔法である。
強力な魔法はまだ使えない。それならば、手数を増やして、相手に魔法を発動させないようにする。それが、今回考えた対アスタロト戦法である。
「チッ………」
しかし、残念ながら俺の魔法はことごとく、アスタロトの障壁前でチリとなって消えてしまう。それに顔を顰めるが、諦めずにどんどん中級程度の魔法を出していく。
………俺がちゃんとした
「うぜぇ…焼き尽くせ!」
「っ、ぶね!」
俺の魔法の隙を縫うように、アスタロトの強烈な魔法が横を掠める。勇者因子によってめちゃくちゃ強化された身体能力でなら、別にそんなに苦もなくかわせるが、これでは絶対に負けることは無いし、勝てることも無い戦いである。
魔力切れを狙うという方法もあるが、そんなにちんたらしてると、下から五条達が来てしまい、俺が考えている事が無駄になってしまうからNG。
……マジでどうするかなぁ。
「どうした!異世界の勇者!こんなもんか!」
「悪いなこんなもんで!後、俺は
勇者なんて面倒なものは五条に丸投げしてやんよ!
「こら!ご主人!何をそんな奴に手間取っておる!」
背後から、シトラスの愛のムチが飛んでくる。いや、そう言われましてもほんと、俺の魔法じゃせいぜいこの程度ーーーーーー
「なんのために!今まで放出の練習をやってきたと思うのじゃ!しっかりと思い出さんか!」
何を!?一体何を思い出すんですかシトラスさん!俺、あの時の記憶とか思い出したくないんですけど!
てか、放出の練習って、魔力量あげるためじゃないんですかね!?
「ご主人のばか!それだけじゃないとちゃんと教えたのじゃ!!」
と、シトラスが拗ねたように言った瞬間、俺の記憶が刺激されるように、シトラスの魔法が俺にかかったことが分かり、その光景が脳内に出てきた。
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新作を投稿しました。是非呼んでください!現代ファンタジーです!
『世界一多忙な俺。次の仕事はとある令嬢の護衛役~え?この仕事中も他の仕事やんなきゃいけないの?~』
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