第47話
「アスタロトが残していった呪いは、一時的に性別を逆転させた後に、呪いを解かなければ永遠にその性で定着してしまうという呪いじゃ」
「解呪は?」
「やめた方がいいのじゃ、無理に解こうとすれば性別がもっとおかしくなるのじゃ」
「性別がおかしくなるって何!?」
「安心しろ潤。もともと性別バグみたいなもんじゃん」
「違うよ!智!僕、ちゃんと男だから!」
おう。分かってる分かってる。だからさ、とりあえず君。腕から離れたまえ。何とは言いませんけど柔らかいのが当たってるんです。男同志の距離感だから余裕で当たってるんです!!
「術者を倒す、もしくは術者に解かせるしか方法はないのう……」
「そっかぁ………」
なら、尚更あのアスタロトってやつ倒さないとなぁ……。潤が女のままだったら絶対クラスメートに襲われるし。
それに、なんて言ったって潤は男だしな。俺も潤が女のままだったら違和感しか覚えなくて逆にちょっと気持ち悪い。だからさっさと倒して潤を男に戻す。
だって、俺たちは親友だから。
「任せな潤。さっさとあんなやつ倒してお前を元に戻してやるから」
「智………」
と、うるうるとした目でこちらを上目遣いで見てくる潤。
………………べ、別に、少しはこのままがいいかも……とか思ってねぇから……うん。
それから、馬車は王宮にたどり着き、何故か降りたら五条が待っていた。
「五条?」
「大河……なんか久しぶりだな」
久しぶりとか言っても3日くらいだけど?まぁ一日の密度が濃いからそう感じるのも不思議ではないが。
「ん、久しぶり、だな。で、なんで居んの?」
「いや、理由は特にないよ。ただ君と緑川をで迎えようと思っただけさ」
「ふーん………」
………こいつには話しても良さそうだな。
「五条、メルルさん呼んでくれ」
「……? どうして?」
「後で説明する。今は一刻を争う」
「………分かった」
と、五条が指をパチン!鳴らすと、五秒後にメルルさんの姿が現れた。
「お呼びですか?」
「あぁ」
エリーのようにスっ、と突然現れるように姿を表したメルルさん。あれか?勇者メイドにも何か特殊能力あるの?
「あ、智様、お久しぶりです」
「あ、ども」
ぺこりと頭を下げられたのでついつい頭を下げてーーーって今はそんなことしてる場合じゃなくて……。
「五条。ちょっと潤についてなんだが……………」
「………」
五条が真剣な目で俺を見つめる。
「…………潤が女になった」
「………………………は?」
あ、うん。分かるよその反応。
「………待て、大河。嘘じゃないよな?」
「嘘じゃない。嘘だったらわざわざこんな雰囲気は作らん……まぁ見た方が早いか」
と、俺は馬車へ向かい、二人に手招きをした。今の潤を外に出す訳にはいかんからな。
「あ、智ーーーーー」
「……………緑川?」
「まぁ………」
女体化潤と対面する勇者。五条の視線が一瞬だけ下に下がった。まぁそこ見るよな。でかいもんな。
「……………なるほど」
そして五条が頷いた。
「メルル」
「はい」
そして、メルルさんもなぜ自分が呼び出されたのかを理解しーーーー
「緑川にサラシの巻き方を教えてやってくれ」
「分かりました。包帯を持ってきます」
察しがいい二人でまじ助かりました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
コメ欄がかつてないほどに盛り上がってました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます