第45話

「厳正な審査の結果……」


 二人の話を聞いてから、アテナ王の頼み事である、ハインケル砦奪還作戦に誰を連れてくかなぁと約二分ほど悩んだ結果……。


「まぁシトラスだけで……理由としては、セラフィス達はまだこの世界に来て浅いし、カリーナは歳的に連れて行けない……というよりアテナ王が却下するだろう」


「まぁ……ですわね」


「それで、エリーはカリーナの世話役として待機」


「了解致しました」


 ぺこりと俺に一礼するエリー。俺は一度頷いてからアテナ王の方へ顔を向ける。


「ということなので、シトラスだけですが……大丈夫でしょうか?」


「大丈夫だ」


 というアテナ王のお墨付きも貰ったことですので、それじゃ早速行きますか。


 荷物などは、国の方で準備しているらしく、特に持っていくものはないらしい。作戦期間は約二週間ほどを予定しているらしく、志願したクラスメート含む200人で奪還作戦に望むらしい。


 そんな人数で大丈夫か?と一瞬思ったが、五条も参加しているらしいので、その心配は一気に無くなった。あいつが入れば百人力だし。


 ハインケル砦は、魔王四天王である『賢者』のアスタロトという魔法が凄い強烈な魔族がいるらしく、そいつをいかに無力化し、撃破できるかが勝敗の分け目だ。


 その砦を奪還すれば、今後魔王領へ攻め込む時に、重大な補給拠点になるのだとか。


「……そういえば、ずっと気になってけど」


 馬車に揺られながらガッタンゴットン。俺は隣にいる潤へ目を向けた。


「なんで潤とアテナ王が一緒に?」


 ぶっちゃけ、本当は最初に聞きたかったけど色々と後回しになっていたため、今聞く。


「えっとね、王宮を散歩してたら、馬車に乗ろうとしていた王様がいたから、どこに行くんですか?って聞いたら智の所って言ったから、着いてきたの」


 まじ?お前よくそんな普通に王様に対して声をかけられたな。


「そ、そうだったのか………」


「うん!それに、智にも会いたかったし……えへへ」


 待て。何故そこで照れた。可愛いなお前。


「……ご主人、こやつ、本当に男か?」


 と、耳元でシトラスが囁く。うん、ぶっちゃけ俺も凄くそう思う。でも、きちんとついてるから。修学旅行の時とかちゃんと確認したから。多分同じクラスメートは一度は潤の方へ絶対に目を向けた。そして、その後落胆してた。


 とりあえずこの男の娘可愛い生物の頭でも撫でてやろうかと思った瞬間、何やらとてつもなく嫌な気配を感じて立ち上がる。どうやらシトラスも感じ、潤も何かを感じたのか、辺りをキョロキョロとし始めた。


 この感覚……バルバトスの時と……いや、バルバトスはもっと弱かったが、あの時と同じ!


「四天王か!?」


「へぇ?下等な人間にしては随分と勘が良いじゃねぇか」


 急いで馬車から降りて頭上を見上げる。


「よう、異世界の勇者。四天王の中でも最弱とはいえ、バルバトスを倒した奴はどんなもんかと見に来てやったぜ」


「こいつ……」


 またまたなんとありそうなテンプレ台詞を……。


「俺は魔王四天王でありながら、魔王軍最強の魔術師の『賢者』アスタロトだ。以後、よろしく頼むぜ、異世界の勇者」


 と、アスタロトと名乗った魔族は俺たちを見下した。


 ………とりあえず、なんかあいつすげぇムカつくんだけど。落ちねぇかなぁ……。


「シトラス」


「落ちろ」


 今のシトラスとは、言葉に出さなくても何をして欲しいかなんてのはすぐにくみ取ってくれる。俺はこの魔法が使えないため、シトラスにエリーの魔法とは違う、重力魔法を使ってもらい、アスタロトを地面に落とす。


「……へぇ?中々いい魔法じゃねーの」


「………ふーん」


「……こやつ」


 どうやら、魔王軍最強の魔術師とは嘘じゃなさそうだな。シトラスの魔法を防いだから。


 さて………どうしようかね。



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筋肉痛からほとんど復活しました。筋肉痛になっていなかった左腕を、この三日間酷使したら、今度な左腕が筋肉痛になりました。

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