第43話

「来週、勇者亘を筆頭に、希望者を募り、ハインケル砦奪還の作戦をするのだが、智どのにもそれに参加して欲しいのだ」


 ……あれ、なんかまとも?


 いや、まともっておかしいか。うん、普通に考えて砦落とす作戦はまともではない。俺らからしたら。


「智殿と………そうだな、二人ほど人を見繕って、王宮の方へ来てくれ」


「二人……ですか?」


「あぁ。あまり智殿の手の内は晒したくはない」


 なるほど。


「分かりました………ですが、二時間ほど時間を下さい」


「ふむ……いいだろう」


「ありがとうございます……カリーナ、アテナ王と遊んでいてくれ、エリー、アテナ王と潤を頼む」


「かしこまりました」


「分かりました!」


 と、エリーがアテナ王と潤を食堂に案内すると、みんなが近くに寄ってきた。


「それでご主人、どうするつもりなのじゃ?」


「マスター様!いつでもいけます!」


 と、何やら気合十分なシトラスとアイハ。


「マスターのためなら………」


「私も、智くんのためならやるわよ」


 と、前からセラフィスが抱きつき、後ろからはグリゼルダさんがちょっと主張が激しい何かを押し付けながら抱きついてくる。


 うむ、とてもけしからんです。


 グリゼルダさんとは、アイハと死を超えて再会させたら、なんか懐かれた。でも、グリゼルダさんにも皆と同じように何かの繋がりを感じるため、多分こちらに来る前にアテナが色々と細工をしたのだろう。


「まぁ……そうですね、その前に」


 俺は、シトラスとセラフィスに目を向けた。


「シトラス、それにセラフィス。ちょっと話があるから、着いてきてくれ」


「「?」」


 呼ばれた二人は首を傾げる。グリゼルダさんが俺に回している腕の力が強くなった。それのせいで、背中に当たっている柔らかい感触ががががが。


「智くん?お姉さんを置いていくの?」


「ち、違います!ほ、本当に少し話があるだけで!」


 ちょ!グリゼルダさんやめて!そんなに強く押し付けないで!あと、グリゼルダさん俺より身長ちょっと低いのにお姉さんは無理あります。


「…………ふーん、まぁいいけど……それじゃあアイハ、少し二人でお話しましょ?」


「あ……はい!久しぶりに使役合戦しませんか?」


「あら?いいわね、久しぶりに私の死霊術ネクロマンシーが唸るわね」


 と、何やら物騒な会話をしながら玄関出ていった二人。


 ………一体何をするつもりなのだろうか。


「……それでご主人、話とは……」


「そうだね……その前に、部屋に行こうか」


 本当は、今日の夜にじっくりと話し合いたかったが……仕方ない。


 二人に聞こう。どうして死んでしまったのかを。


 二人の手を引き、何やら不安そうな二人に向かって笑顔をうかべる。


「大丈夫、二人を見捨てるとか、そんなことじゃないーーーーというより有り得ないから」


「ぬ、ぬぅ……」


「むぅ……」


 どうやら図星だったようで、恥ずかしそうに抱きついてきて顔をグリグリと押し付けた。可愛い。


「むしろ、二人を大事に思っているからこそ、聞いて、ちゃんと受け止めたいんだ。もちろん、話したくないなら話さなくても構わない」


 部屋に入り、二人をベッドに座らせてから向き合った。


「俺は、どうして二人が亡くなったのかを聞いておきたい。これは、俺が君たちを呼んでしまった責任だと思うから」






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潤に対しての変態度やばすぎでしょ………(昨日のコメントを見て)

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