第42話

「………はい、ということで、新しく仲間になったグリゼルダさんです」


「よろしくね、皆さん」


 アイハとグリゼルダさんの涙の再会から30分後。全員が食堂にて集まった時にグリゼルダさんのことを紹介した。


 これで仲間が六人か……一気に増えたな。


「グリゼルダ様ですね、よろしくお願いします」


 ぺこり、と唯一席に座らないで給仕をしていた、俺専属の勇者メイドと呼ばれる存在である、エリザベスーーーーエリーが頭を下げた。


「よろしく頼むのじゃ」


 次に、俺が(というよりアテナが)異世界から呼び出した魔王、吸血姫である『吸血魔王ブラッドロード』、シトラス。


「よろしくお願いします!グリゼルダさん!」


 次に、俺が異世界召喚された国のお姫様で、王国の至宝とも呼ばれているカリーナ。


「ん……よろしくお願いします」


 次に、俺が(というよりアテナが)またまた異世界から呼び出した堕天使のセラフィス。可愛い。癒し。


 そして、レイスクイーンのアイハ。最後に俺と同じ死霊術師ネクロマンサーのグリゼルダさんを加えたこの六人が仲間である。


 ……そう言えば忘れていたが、今潤達は何をしているのだろうか……また貴族たちに(特に潤)が言い寄られてないといいのだが。


 ………なんか一度考え始めたら色々と不安になってきたぞ!?王宮には、潤を狙っている変態メイドがいるし………。


 と、色々と考えていたら、来客を知らせる音………というか、人が近づいてきたら屋敷内にインターホン的なやつが鳴る魔法が屋敷内に響いた。


 珍しいな。人が来るなんて……まぁ十中八九王絡みだろうけど。


「はーい」


 食堂からエントランスに出る。後ろにはエリーが控えるように着いてきて、右手にさりげなくカリーナが手を繋いできた。


「どなたです………か」


「うむ、久しぶりーーーーではないか。2日ぶりであるな智殿」


「僕は久しぶりかな?智」


 そこに居たのは、クラスで一番可愛い男の娘である緑川潤と、この国の王様であり、現人神的な存在である、アテナ・グラファイト。


 カリーナのお父さんである。


「お父様!」


「カリーナ」


 カリーナが元気よくアテナ王に抱きつき、アテナ王がそれを軽く受け止めた。


「智!」


「潤ーーーっと、なんでお前も抱きついてるんだよ………」


 男に抱きつかれても嬉しくはねぇ。まぁ潤は例外だけど。


「えへへ……その、なんか久しぶりだなー……って」


「おっふ………」


 この子、本当に男?もう性別潤でいいんじゃないかな?


 ほら、この世には性別秀吉とか言って、なんかキャラクターランキングで男子の方にも女子の方にもランクインしたキャラもいるし。


「………なんか沢山増えたね」


 体を離し、チラリ、と後ろの方へ潤が目線を向けると、そこにはセラフィス、アイハ、グリゼルダさんが何やらコソコソと話していた。


「……なんだ?智くんの新しい女か?」


「いえ、ですがグリゼルダ様……オーラは男のオーラですよ?」


「え……男……?」


「うおっほん」


 アテナ王がカリーナを片手で抱っこし、こちらへつかつかとやってきた。


「今回、私が智殿の元へやってきたのは、少し頼み事があるからだ」


「………頼み事?」


 何故だろう。何故嫌な予感がするのだろうか。

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