魔王四天王
会合
「バルバトスがやられた」
1つのテーブルに、4つのイスがある。その席に座っているは3名で、残りの1つは空席である。
しかし、その空席は永遠のものとなった。それは、魔王四天王であり、智にーーーいや、シトラスに呆気なくやられた『狡猾』のバルバトスの席である。
最初に口を開いたのは、褐色の肌に、はち切れそうなほどの大きさの胸を惜しげも無く晒している悪魔。魔王四天王の一人、『破滅』のヘラである。
「はっ!やっと死んだかあいつ!」
「……まぁ仕方ないだろう。奴は四天王の中でも最弱………調子に乗って攻めたのが間違いだ」
次に、偉そうに腕を組み、テーブルに足を乗せている角が生えている悪魔。言動から脳筋と思われがちでな魔王四天王、『賢者』のアスタロトである。
次に、杖を携え、興味なさげに顎を撫でる妙齢の悪魔。魔王四天王『技巧』のマモン。
そして、今は亡き『狡猾』のバルバトスを合わせた四人が、魔王四天王と名乗り、魔王の手先として人間と戦っている。
「まぁ、あいつにしてはよくやった方だ。あいつの死で、人間でもこちらに与するという結果が得られたのだからな」
「はっ、んなの関係ねぇ。俺が行けば魔法ひとつで街が落ちる。そんなのしてる暇あるなら、俺が潰すぞヘラ」
「勝手を言うなアスタロト」
ヘラとアスタロトが睨む会う。それに制止をかけたのはマモンである。
「……お主ら、魔王様の御前だ。口を慎め」
「「っ!」」
コツ、コツと靴を鳴らす音が二人の耳に入る。いち早く気配を察知していたマモンは、ピクリと眉を動かすだけだ。
「………お前たち」
姿を現したのは、ヘラよりも胸の大きさはないが、それでも見事なプロポーションと言える肉体。全てが男を魅了するためだけに存在しているような錯覚に陥りそうな程に、その色香は強烈。
「バルバトスがやられたとは真か?」
「は、はい。それは間違いないかと、魔王様」
魔王の問いに一番早く答えたのはヘラである。素早く椅子から降り、片膝を地面に着いた。
「それで、如何致しますか?魔王様。バルバトスの代わりに誰か四天王でも入れますか?」
と、先程とは打って変わって、めちゃくちゃ礼儀正しく魔王へと声をかけるアスタロト。
「………いや、よい。どうせこの戦争は近いうちに終わる……」
終わる、と聞いて四天王がざわついた。その顔には、魔王軍の勝利を疑わない顔つきである。
「……精進せよ」
「「「はっ」」」
その場を去る魔王。四天王の顔色は良くなったに対し、先程から、魔王の顔は悲しい色で溢れていた
(頼む……強くなってくれ、三人とも……)
魔王の間に戻った魔王は、その虚空に浮かぶ空間の歪みに強い視線を向けた。
(近いうちにこの無駄な戦争は必ず終わる。そう、魔王軍と人間軍が一丸となることで)
未だ、魔王であるオシリスしか知らない事実。
虚空に浮かぶ歪みは、禍々しく、蠢き始めるーーーー。
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